空室が決まるには「①賃料」、「②広告料」、「③初期費用」の3要素が適正になっている必要があるんだ。その中でも初期費用は見落とされがちなんだよ。
こんにちは、モーガンです。
購入後、ポンポンと決まった第6号物件の空室ですが、最後の一部屋の反響が少なくなってしまいました。
この記事を書いているのは11月です。2つの空室に入居が決まったのは9月の不動産会社にとってプチ繁忙期。引っ越し需要が少し増える時期です。11月の閑散期を迎えた今、反響が少ないのはある程度仕方がないことなのかもしれません。
↓3つ空室がある第6号物件を購入した時の記事↓

↓空室2件埋めた方法についての記事↓

この閑散期は、気分転換や離婚・別居など、計画的な引っ越しとは言えないケースが増えるため、限られた貯金の中で引っ越し費用を捻出しようとする人が割合として多い時期です。
貯金がそこまでない人たちになるので、賃料もそうですが、契約時に支払う必要がある初期費用(敷金、礼金、補償費用、火災保険費用など)が高額になっていると見送られてしまいます。
賃貸需要(引っ越しシーズン)は以下のように繁忙期と閑散期があります。
月 | 賃貸需要 | |
---|---|---|
1月 | 少 | |
2月 | 多 | 繁忙期 |
3月 | 多 | 繁忙期 |
4月 | 中 | 繁忙期 |
5月 | 少 | |
6月 | 少 | 閑散期 |
7月 | 少 | 閑散期 |
8月 | 少 | 閑散期 |
9月 | 中 | |
10月 | 中 | |
11月 | 少 | 閑散期 |
12月 | 少 | 閑散期 |
繁忙期は勤め先の転勤や大学の入学など計画的な引っ越しが多くなります。予定している出費なので、家賃や初期費用が多少相場より高めでも決まることがあります。(地域にもよりますが。)
逆に閑散期は引っ越す人は少ないため、賃料を下げざるをえないことがあります。また、計画的な引っ越しではないケースも多く、高額な初期費用を払えない層が多くなる傾向にあります。
繁忙期と閑散期では、賃料、広告費、初期費用の相場はそれぞれ上下することを意識する必要があります。
東京都内の高級マンションや月額賃料が10万円を超えるファミリー物件は影響が少ないのですが、私のように地方で月額賃料が3−7万円のアパートを貸し出している人は特に、入居者が支払う初期費用に気をつけないといけないんです。
賃料が低額な賃貸物件ほど、お金に敏感な人が多いです。初期費用が相場より高い場合は家賃を1ヶ月分無料にする「フリーレント」をつけるなど、工夫が必要になるかもしれません。
今回の記事では初期費用の相場を見極めて、どのように客付を促進していけば良いかについて書いていきたいと思います。
初期費用って何?
自分の空室の初期費用がいくらなのか、抑えていない人は以外に多いです。これは不動産(管理)会社さんが具体的な説明をしてくれないことに起因しているように思います。
契約時に入居者さんが支払う初期費用には、家主に入金される空室の賃料のみならず、不動産(管理)会社の商品も抱き合わせで提案しているケースが多いです。それをまともにオーナに説明すると「けしからん!」と怒られてしまうため、不動産(管理)会社さんは説明したがらないのです。
オーナからすると、入居者に余計な提案をされると、不必要に入居費用が高く見えてしまうわけですから、怒りたくなりますよね。それで入居者を取りこぼしたら、どうしてくれるんだ!と。
一方、不動産(管理)会社からすると、仲介手数料だけでは、店舗やシステム、人員の維持コストを賄うことができません。抱き合わせ商品を入居者に販売してより多く利益を得ていかないといけない事情もあります。
(当然、現場の営業マンはこれらの商品の売上や利益ノルマが課されています。)
初期費用はオーナと不動産会社側の利害が対立してしまう調整の難しい費用なんです。
それをお互い尊重しつつ調整するためにも、正確に初期費用とは何かについて抑えていきましょう。
初期費用の内訳
初期費用は時に10以上の内訳になり、思いのほか高額になることがあります。まずは私の保有するファミリー物件の初期費用を見てみましょう。
3LDK(賃料49,000円、共益費4,000円、駐車場3,000円)の例
初期費用 | 金額(税込) | 備考 |
---|---|---|
敷金 | 0円 | |
礼金 | 0円 | |
当月賃料 | 56,000円 (日割り)になる |
賃料49,000円 共益費4,000円 駐車場3,000円 |
翌月賃料 | 56,000円 | 同上 |
仲介手数料 | 52,920円 | 賃料1ヶ月分+税 |
駐車場紹介料 | 3,000円 | 駐車場代1ヶ月分 |
保証料 | 60,480円 | 総賃料(賃料+共益費+駐車場) 1ヶ月分+税 |
火災保険料 | 12,960円 | |
鍵交換費用 | 21,600円 | |
駆け付けサポート | 12,960円 | |
消臭除菌費用 | 21,600円 | |
簡易消化器具 | 16,200円 | |
合計 | 313,720円 |
どうでしょうか。「ん?合計31万円??以外に高額だぞ?もっと安いと思ってた。。。」という方も多いのではないでしょうか。一つ一つ簡単にご説明します。
敷金
敷金は入居者からの預かり金のことです。万が一の滞納や退去時の原状回復の補填にできるように契約時に入居者から預かるものです。競争が激しい地域では敷金を取らない物件が増えています。保証会社に加入すれば、敷金がなくても万が一に備えられるようになったのもを取らなくなった理由の一つです。
礼金
入居者からの謝礼金です。もはや戦後の「家がない時代」の名残りになっていて、都心の新築物件や超人気物件しか取れなくなってきていますね。私の地方ではほとんど無くなっています。
当月賃料、翌月賃料
家賃は前払いのため、当月分は日割りで、そして翌月分も契約時に支払ってもらうことが通常かと思います。口座引き落としの銀行手続きが間に合わないため、当月分のみならず、翌月分も支払いを受けることが多いです。
仲介手数料
入居者が不動産会社に支払う手数料ですが、法令で1ヶ月+消費税が上限となっています。競争が激しい地域だと不動産会社は、仲介手数料を半月分にしたり、無料にするなどして、顧客を呼び込む場合も多いため、入居者から取りづらくなっている現状があります。
その分、追加で商品・サービスを入居者に提案したり、家主から受け取る広告料などで店舗を維持運営する傾向が強まっています。
駐車場紹介料
入居者が駐車場をあわせて契約する時に賃貸仲介に支払う手数料です。
保証料
入居者が万が一滞納した時に立替払いをしてくれる賃料保証契約の加入料金です。賃料の0.5ヶ月分〜1ヶ月分になることが多いです。一般的に保証範囲の広さで保証料も上下します。
賃料、駐車場のみの保証なので0.5ヶ月分、という保証会社もあれば、退去時の原状回復費の未払いも保証するので1ヶ月分、という保証会社の商品もあります。
不動産管理会社がどの会社のどの商品を提携しているかによって保証料が変わってきます。
火災保険料
入居者の過失により失火したり、漏水を起こした時に損害を回復するための保険費用です。最近では入居者が孤独死した時の損害も対応する商品が増えてきました。
入居者には必ず加入してもらう必要があります。家主側で加入している火災保険もありますが、主に家主や建物に過失がある場合に支払われるものなので、入居者の過失の場合は支払われないからです。
鍵交換費用
入居者さんに鍵交換の費用を負担してもらいます。鍵のセキュリティ性能の高さに応じて金額は高くなります。
一番安いタイプで1万〜1.2万円程度。ディンプルキーなどセキュリティ性能が高いものは、2万円、3万円というものもあります。入居者さんに選んでもらうのが通常です。
駆け付けサポート
不動産管理会社やその提携会社が夜間・休日の対応窓口を設け、緊急対応をしてくれるサービスの費用です。鍵の紛失、窓ガラスの破損、漏水などの水のトラブル、火災、事件、事故の対応窓口となり、有償、無償のサービスを提供します。
消臭除菌費用
光触媒などを壁、床に塗布することで部屋全体を除菌するサービスです。工事後に残留してしまうホルムアルデヒトなどの薬害や部屋の臭いが気になる人の場合、このサービスを利用することがあります。
簡易消化器具
不動産会社さんが消火器など消化器具を販売することがあります。
初期費用にも相場がある!
上述した内訳の初期費用ですが、当然、相場というものがあります。
せっかく家賃や広告料が適正に設定されていても、初期費用が相場から大きく乖離していると仲介店舗の営業マンに紹介してもらえないことがあります(特に他社の仲介営業マン)。入居者に負担できないのがわかっているのに提案しても無駄だからです。
この相場はいくらなのかについては、家賃や広告料の相場と同じように地域性があり、一概にいうことはできません。
グーグル先生に聞いてみると家賃の4.5−5ヶ月分が相場という記事がヒットします。そういう意見もあるでしょう。
ただ、私の感覚からすると4.5−5ヶ月は少し高い気がします。
新築物件や賃料が10万円以上の中・高級物件に住む層なら初期費用を4.5−5ヶ月分用意できるのかもしれませんが、私が所有する賃料10万円以下の物件の客層を想定すると、4ヶ月分くらいが相場ではないかなと思います。
私の場合は競合物件と差別化できるように少しだけ安めに設定します。3.5ヶ月分から4ヶ月未満を目安に設定することが多いです。
具体的な金額でいうと、シングル向け物件であれば、初期費用の合計は10−12万円、ファミリー向け物件であれば、20万円−24万円くらいにしたいと考えます。
初期費用を不動産会社と調整するときの注意点
先にも書いた通り、不動産会社も客付の時に一定の利益を得られないと採算が合いません。そういう事情があるので、いくら初期費用相場に合わせたいからといって、不動産会社の商品を提案しないようにと一方的に拒むのは、関係を壊しかねません。
家主だって客なんだから、そんなに気を使う必要はない!と言う意見もあるかもしれませんが、私は強権発動みたいな調整方法はやめたほうがいいように思います。関係が壊れた家主の物件は店頭で提案されづらくなるからです。
とは言っても、金額を削ってもらわないといけません。
その場合、私も家賃1ヶ月無料のフリーレントを提案して、お互い折れるという言い回しで調整することが多いです。
そうすれば、ノルマがあるとは言え、入居者が求めた場合は相場感くらいまで提案商品を削ることも了解してくれると思いますよ。
店頭の営業マンに任意で提案しても構わないので、入居者が予算オーバーの時は、取りこぼさないように調整してね!と頼むのです。
また、不動産会社によっては入居者と賃貸契約することを優先し、あまり追加商品を提案しないところもあります。私はそういう店舗に客付依頼の営業を強化して、そこから客付されるようにすることも怠らないようにします。
↓客付営業の方法はこちらの記事↓

それが牽制となって自分が委託している不動産会社さんも折れてくれることが多くなると思います。
家主と不動産会社で利害が対立してしまいやすいことを意識して、うまく調整したいところですね。