こんにちは、モーガンです!Follow @tsukubanosora茨城県で12棟75室のアパート、マンションを経営する専業不動産投資家です。
突然ですが、皆さんは所有している建物の消防用設備の点検と報告は法令通りやっていますか?消防設備点検って意外と何かわかっていなかったり、業者さんに言われるがまま、高い費用を払って不満に思っていたりする人も多いのではないでしょうか?
↑実際の消防用設備等点検結果報告書です。定期的に不動産管理会社さんから送られてきてませんか?
↑2ページ目の消火器点検表には○が何個か並んでいるだけ。何を点検してるんだろう?大した内容ではなさそう。
↑3ページ目にあたっては「蓄圧式消火器が2本設置されている」という情報だけ…。
実は消防点検は設備が消火器だけの木造や軽量鉄骨アパートであれば自分で検査と報告ができてしまうのをご存知ですか?有資格者が必要なのは昇降機や自動火災報知器など、消火器以外の消防設備を有する建物であって、消火器だけの場合は有資格者である必要はありません。
今回のブログ記事は、木造・軽量鉄骨アパートの消防設備点検報告を自分でやろう!というお話です。
私は不動産管理会社さんから送られてくる消防設備点検業者さんが作成した報告書を見て「大したことを検査して無さそうだなぁ…」と常々思っていました。何となく業者さんに数万円お支払いしながら不満を抱えていたのです。資格を持っていないと出来ないと考えていたので、シブシブ発注していました。
そんな時に新しく購入した同一敷地内の5棟建アパートを管理会社さんを通して消防設備点検業者さんに見積もりを依頼したところ、1棟あたり8千円/回、5棟で4万円というのです。年2回実施する必要があるため、年間では8万円の負担になります。
5棟の建物は隣接していてどう考えてもそんなに手間がかかると思えませんでした。加えて見積もりの対応も遅いし、質疑に要領を得なかったのも手伝い、この業者さんとお付き合いできないと感じるやりとりが何回かありました。
そこで自分で出来ないか調べてみたところ、すぐに仲間が自分でやれることを教えてくれました。持つべきものは仲間ですね。有資格者しかできないと思い込んでいましたが、消防庁が推奨するやり方があったのです。
その総務省消防庁のお墨付きのやり方を調べたのでご説明しますね!
コンテンツ
消防用設備等点検報告って何?
所有するアパートやマンションなどの共同住宅には、入居者の安全を守るため消防設備が付いているかと思います。中古で購入した人は気にすることは少ないかもしれませんが、建物の規模や用途に応じて、以下のようなものが付いています。
- 消火器
- 火災報知器
- 消火栓
- 誘導灯
- 避難はしご
- 他
共同住宅の所有者はこれらが正しく設置され、動作するかどうかを定期的に点検し、最寄りの消防署に報告する必要があります。これを消防用設備等点検報告と言います。
以下の記事で紹介している私の1K8戸の軽量鉄骨アパートには、消防設備が一切ついていませんでした。
延べ床面積150㎡以上の共同住宅にあたるこのアパートには消火器を「各階に歩行距離20m以下になるように」設置する義務があります。
前所有者さんの時代に古くなり捨てたままにしてしまったのかもしれませんが、このままでは違反していることになるので購入し、設置しました。
各階の共用部の中央に設置することで両脇から20m以内にしました。
ホームセンターやインターネットで購入すれば数千円で済みます。
消防設備点検報告は有資格者しか出来ないの?
一定の条件を満たした消火器と誘導灯であれば資格は必要ありません。
「防火対象物の延面積は 1,000 平方メートル未満」
かつ
「階段が建物の内部に 1 つのみで、3 階以上の階又は地階に特定用途(飲食店や物販 店等不特定多数の者が出入りする用途)がない」
場合の消火器と誘導灯であれば誰でも出来ます。
ちょっとごちゃごちゃしたのでもう少し説明します。
数戸の小規模な木造や軽量鉄骨アパートの場合、延べ床面積が1,000 平方メートルを超えることは考えにくいです。また1Fに飲食店や物販のテナントが入っていることはあるかもしれませんが、地下階や3階以上にその特定用途のテナントが入っていることも少ないのではないでしょうか。
小規模なアパートの場合、たいがいは消火器のみが設置されていて、その他にあるとしたら誘導灯くらいではないかと思います。この消火器と誘導灯であれば、費用をかけずに自分で10分程度で点検と報告が出来てしまいます。
自分で点検するのにはもう一つ要件があります。それは設置されている消火器の製造年が5年未満であることです。
消火器が製造年から5年を超えているものの場合、消火剤と内部の点検が必要になり、有資格者しかできません。これを理由に消火器でさえ、有資格の業者さんに依頼するように消防署の職員の方に指示されることがあります。
これを鵜呑みにする必要はありません。
5年経過した消火器は数千円支払ってリサイクルで廃棄処分し、新しいものを購入設置すれば良いだけです。
しつこいようですが、自分で点検報告できます。
小規模なアパートであれば問題はないのですが、RC鉄筋コンクリート造のマンションになると少し話は変わります。
RC鉄筋コンクリート造のマンションになると規模が大きくなるため、設置されている消火設備は消火器や誘導灯のみならず、火災報知器や避難はしごなど多岐に渡ることが多いです。
消火器と誘導灯以外の消防設備が付いている場合は、有資格者でしか出来ません。そのため、RC鉄筋コンクリート造のマンションなどで消火器や誘導灯以外の消防設備がある場合は、業者さんに依頼する方が無難かと思います。
ご自身で資格を取ることもできますが、必要な勉強時間などを考えると、投資対効果に合わないかもしれません。
消防用設備等点検報告はやらないとダメ?やらないとどうなるの?
共同住宅の所有者は消防設備点検と報告は必ず定期的に実施しなければなりません。
6ヶ月毎に機器点検を行い、3年に一度、報告を行う義務があります。
この義務を怠ると罰金刑や拘留刑に処されることがあります。一番有名な違反事例に新宿歌舞伎町で起きたビル火災があります。火災により死者を出したこの建物は、消防点検などを怠り危険な状態にあったため、所有者が禁固刑に処されました。
法令で義務になっていることを知らないのか、業者さんへのコストが重荷なのか、この点検を怠っているアパート、マンションは意外に多いようです。とても危険な状態なので地方自治体や消防庁は所有者自身で点検報告することを推し進めている背景があります。
このブログ記事の読者さんは、自分でも業者さんでも構わないので、必ず実施しましょうね。
自分でやるのはどうやるの?
消防庁が出している「自ら行う消火器の点検報告」パンフレットを参照してください。とてもわかりやすい写真付きパンフレットになっていて素人でも一目瞭然です。基本的には消火器の所定箇所を目視確認し、報告書の記入例の通り、記述するだけです。
自ら行う消火器の点検報告・パンフレット
自ら行う消火器の点検報告(総務省消防庁)パンフレットはこちらのリンクから
↑こちらは総務省消防庁から出ているパンフレットです。その名も「自ら行う消火器の点検報告」。
↑消火器の目視点検箇所を写真で説明してくれてます。っていうか、見る箇所これだけ?簡単…
↑報告書も目視したところに○付けるだけで数分で記入完了しちゃう。こんな簡単なことを業者さんに依頼してたのか…
報告用フォーマット
記述用フォーマットは①、②の二種類です。以下のリンクからダウロードできます。
①表紙
別記様式第1 消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書 wordのダウンロード
別記様式第1 消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書 pdfのダウンロード
②消化器具点検用
消化器点検報告書フォーマット(別記様式第一)wordのダウンロード
消化器点検報告書フォーマット(別記様式第一)pdfのダウンロード
報告書を記入したら、アパートの最寄りにある管轄の消防署に持参します。この時、一部コピーを取っておき、正本、副本として二部持参しましょう。受付で二部提出すれば副本に「届出済み」の押印をしてくれますので、これで完了です。
総務省消防庁が自主点検を推し進めているにも関わらず、消防署の職員の方から消防署指定の有資格者である点検業者さんに依頼するように促されることがあります。
私も何度かお電話した時や報告書を受け付けてもらう際に、有資格者しか出来ないので指定の点検業者さんを利用するように言われた経験があります。
残念ながら、消防署員の方もきちんと点検報告の必要要件を記憶していないのが実態のようです。
私はこの「自ら行う消火器の点検報告」(消防庁)のパンフレットを印刷して持参し、消防署員の方に説明したところ、あっさり受け付けてくださいました。笑。
参考)便利な消防用設備等点検アプリ
手書きの報告書も良いのですが、消防点検報告用のアプリを使うという手もあります。こちらは消防庁からリリースされているスマホアプリの画面です↓
(引用:総務省消防庁「消防用設備等点検アプリ」)
残念ながらデータで直接報告することはできませんが、これに一度、建物情報を更新しておくことで、次回以降はとても楽に報告書を出力することができます。点検忘れを予防するために、6ヶ月後にアラートしてくれる機能も付いている優れものです。
ぜひ以下からインストールしてみてください。
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/post23.html
参考2)防火対象物使用開始届出書の提出を求められる場合
初めて自分で消防用設備等点検報告書を消防署に持参すると職員の方に「防火対象物使用開始届出書」を出すように言われることがあります。この届出書は所有者が変わるたびに建物や所有者の情報を記述し、提出することで日頃の消防活動に役立てるものです。
防火対象物使用開始届出書のフォーマットは市区町村などの地方自治体のホームページからダウンロード出来ます。
記述する中身は建物や土地の面積、用途、所有者の情報など基本的なことですので憶することはありません。
防火対象物の案内図,配置図,各階平面図,立面図,断面図,矩計図及び仕上げ表などを添付するように書かれているかと思いますが、アパートを新築または中古で売買した時の資料のうち、類するものをコピーして添付するだけで問題ありませんでした。
私の場合、中古で取得しているため、各階平面図と地図しかありませんでしたが、その場で書き方を教わりながら、配置図を手書きすることで受理されましたので神経質にならなくても大丈夫かと思います。
まとめ
点検と報告は本当に呆気ないです。
消火器1本を確認するのは1分かかりません。報告書を書くのに5−10分。あとはアパート近くの消防署に持参する移動と受付時間だけです。
これに今まで数万円払っていたと考えると無知って怖いですね。。。
もちろん、必ず自分でやる必要もありません。
私が所有するアパートの中には、不動産会社さんが年間で必要な管理サービスをパッケージで受けているものがあり、消防設備点検もその中で実施してもらっています。品質も良く満足しています。
この場合に不動産会社さんと交渉してパッケージサービスをバラしたり、自分の都合ばかりを考えて値引き交渉するのは得策になりません。賃貸経営上、業者さんに利益をとらせてあげるという気持ちも時に重要だからです。
とはいえ、方向性が合わない業者さんであったり、不当に高かったりする場合は、消防設備の点検報告を自ら行うというのも一つのオプションだということを覚えておきましょう。
自分で点検を行えば、空室の入居付けの改善点などを見つけるなど、思わぬ副産物が見つかるかもしれませんよ。
この他にも不動産投資家自らDIYで行うことで所有する賃貸アパートやマンションの品質をグッと向上させる空室対策やリフォームについてこちらの記事で紹介しているので読んでみてくださいね!
最後に、不動産投資に役立つ情報をツイートしているので、ぜひフォローしてくださいね。
Twitterのフォローはこちらから↓
Twitterで記事とともに@ツイートしてもらえれば、極力コメントお返しますね!