こんにちは!モーガンです。Follow @tsukubanosorani
ここ1ヶ月くらい注力していた物件購入の交渉が決裂してしまいました。利回りはなんと46%!築28年の築古アパートだったので、そのボロさから1,000万円近くの修繕費が見込まれたのですが、それを加味しても、利回り27%という驚異の物件です。
契約寸前でシロアリが発覚して、その費用負担の折り合いがつかず、泣く泣く交渉から撤退。。。
修繕関係に強い投資家仲間を新潟県から茨城県まで新幹線で呼び出したり、その他にも時間をかけて入念な確認を行った物件だけに、喪失感が半端ないです。
しばらくブログを書く気にならなかったのですが、今回の私の経験が築古アパートで不動産投資をしたい!と考えている人に参考になるかもしれないとMacのキーボードをパタパタし始めました。
築古シロアリアパートの実例を通して、修繕の難易度の高い物件のチェックポイントや買い方の教訓について書いていきたいと思います!
コイツ、交渉下手くそだなぁと笑いながら、読んでもらえれば幸いです!
コンテンツ
ネットで非公開!お宝物件発見か?
毎日のようにインターネットで物件の捜索活動をしているのですが、私がターゲットにしている市にはなかなか物件が出てきません。人口増加地域に絞っていることもあって、利回りと資産性(土地の値段)を加味すると、お買い得だ!という物件はそうそうないんです。
銀行さんから年度内にまだ融資が出せると言われていることもあり、「融資が出なくなる前に買わなければ!」と隣接地域にも触手を伸ばすことにしました。
先日、その隣接地域のとある物件を問い合わせたところ、地元に根ざした不動産会社の社長さんから「ネット非公開の物件もあるので見に来てよ」と言われたんです。
ネット非公開という言葉に弱い私は、翌日にはもう社長さんの運転する軽自動車に乗って、物件の視察に来ていました。笑。
一応、問い合わせをした物件にも視察に行きましたが、資産性の低い旗竿地にあったので、土地値信者の私には全く興味が湧きませんでした。
「旗竿地」とは、道路と接道している間口が狭く、その奥に建物を建てられるスペースがある土地のことを言います。土地の形状が旗竿に見えることから、その名前がついています。
狭い部分の通行や駐車が不便だったり、隣地の建物に四方が囲まれてしまうことから、通常の土地に比べて安く取引される傾向にあります。その分、銀行からも担保としては低く評価されることが多いです。
その理由から私は旗竿地物件は買わないことにしています。
社長さんに失礼がない程度に切り上げ、早くネット非公開物件の方に連れていってよ!と言わんばかりに、そそくさと軽自動車に乗り込みました。
さぁ、いよいよ非公開物件に到着です!!
ネット非公開物件の概要
その物件は、人口10万人以下の小さな市にありました。
ちょっと前まで私がターゲットにしている市に人口を吸い取られており、投資対象としては「不可」としていた地域です。しかし、最近になって高速道路が開通したため、大手企業の物流拠点や商業施設が続々と開業し、人口増加傾向に転じました。
投資妙味が出はじめたところなんです。
- 築28年、1K × 18戸の軽量鉄骨1棟アパート。
- 物件価格は1300万円。
- 満室想定賃料は約600万円/年。表面利回り46%!
- 外壁と内装共に要修繕=900万円。それでも利回り27%!!
- 現況18戸中13戸が空室。
- 200坪(約660㎡)の土地があるが担保評価額は600−800万円にしかならなそう。
その物件の魅力は、何と言っても表面利回り46%です(こんな高利回り物件は初体験です)。修繕費用を織り込んだ利回りが27%。ネット利回りにしても20%近辺に着地するはずです。
つまり、13戸ある空室を埋めてしまえば、その賃料収入により4−5年で売買金額が回収できてしまいます。
空室が埋まらない原因は売主にありました。外壁塗装や原状回復費を惜しみ、放置していたのです。外壁の塗装は剥がれ、クロスや水回りも汚いまま入居者募集していました。
売主はちょっと遠方に住んでいる高齢の方なので仕方がないのかもしれませんが、これでは誰も入居しません。
ただ、逆にチャンスです。外壁、クロス、水回りはもちろん、そのほかの古びた設備も一新してあげれば、多少の時間はかかるかもしれませんが、満室まで持っていけそうです。
満室に持っていけた時のキャッシュフローを思い浮かべると顔がニタニタしてしまいます。
とはいえ、色々懸念が残る物件であることも確かです。
- 路線価から判断するに、土地値が安いため、銀行融資の担保評価額が伸びないだろう。
- 外壁や内装の修繕費用が不動産会社の社長さんがいう通り、900万円で収まるか不安。
- 修繕できないような瑕疵が見つかるかも(建物基礎部分の劣化や傾きなど)。
視察には買付の用紙も持参していたのですが、素直に不動産会社さんに相談しました。
私は持参した買付をカバンにしまい、不動産会社の社長さんに外壁と内装の修繕費用見積もりをお願いして、その場を去りましました。
この日から1ヶ月かけて懸念点の検証調査が始まったのです。
築古アパートの懸念点の検証
この築古アパートを購入するにあたっての懸念点は大きく3つありました。
- 銀行の担保評価額が著しく低くないか
- 修繕費用が900万円の予算内に収まるのか
- 物件に致命的な瑕疵はないか
この②と③について、私の経験と実力だけでは検証しきれないと考え、友人のY君に協力を要請しました。Y君は私よりもボロい物件をリノベーションして賃貸経営している実績があります。
「賃貸ニーズの把握や工事見積もりの取得を終えておくので、2週間後に現地を一緒に視察して欲しい」と伝えたところ、快諾してくれました。持つべきものは友です。ありがたい!
急ピッチでその他の調査も進めました。
第6号物件を取得して間もなかった私は、その空室営業や修繕対応の合間を縫って、隣の△△市に行っては仲介店舗に賃貸ニーズのヒアリングをしたり、地方銀行さんへの融資打診や担保評価依頼をこなしました。
銀行の担保評価
物件視察から2週間が経過したある日、地方銀行の担当者さんから電話が来ました。
予想していた通りです。具体的な金額を教えてもらうことは出来ませんでしたが、声のトーンなどから担保評価は600万円くらいだということがわかりました。
これは良くない情報です。
銀行は私のBS(バランスシート)に計上されている所有物件をこの担保評価額と置き換えて、私の融資先としての健全性を評価します。
仮に修繕費(900万円)と売買価格(1,300万円)を合わせて2,200万円の銀行融資を受けた場合、担保評価額(600万円)との差である1,600万円が債務超過になってしまいます。
つまり、この物件を購入すると、私の融資先としての格付けは、この1,600万円分下がるということです。
銀行担当者さんは営業なので、この物件で私が融資を受ければ、今期の成績になります。この物件を前に進めることに抵抗はないでしょう。
ただ、私としては個人信用やこれまでの実績を毀損させて取り組むことになってしまうため、慎重に考えなければいけません。この物件は良いかもしれないのですが、その次が続かなくなってしまいます。
さらに悪いことに、賃貸需要を仲介店舗に調査したところ、空室13戸を満室にするには丸一年はかかりそうということがわかりました。
つまり、賃料収入からのキャッシュで債務超過状態を解消するには、下手をすると最低でも5年以上かかってしまう見込みです。
それでもなお、46%以上の物件に出会うことは早々ないため、「一度でいいから買ってみたい!」という気持ちが優ってしまい、前に進めたいと銀行担当者さんに伝えている自分がいました。
一つ目の懸念点は、これでクリア???
修繕費用の算出と致命的な瑕疵の調査
銀行からの担保評価の結果連絡とほぼ同時に、社長さんから修繕見積もりについても連絡がありました。
そして友人Y君を迎えて現地の再視察の日です。生憎の雨ですが、「新調したワークマンの作業着を着てるから濡れても、汚れても大丈夫ですよ!」と元気に物件視察に駆けつけてくれました。
余談ですが、こういう汚い物件を視察するのにワークマンの作業着はとても便利です。雨に濡れようが、汚い部屋の埃まみれになろうが、へっちゃらです。
そして、いかにも「工事業者さん」という感じに見えるので、物件周りを長時間ウロウロしていても、住人の人から泥棒!と通報される心配も軽減されるので本当にオススメです!
しかも、この価格!
地割れした跡が結構ありますね。どうやら付近は水を多く含んだ土壌のようで、割れやすいようです。まぁ、基礎は割れたりしていないようなので、良しとします。
以前視察に来た時はなかった瓦礫を発見しました。上を見上げると外壁に穴が空いています。そこから落ちて来たようです。先日来た台風の時に崩れ落ちてしまったんですね。。。
まぁ、大丈夫です。売主さんが保険で直すでしょうし、最悪、崩落した外壁面は新しいパネルをつけて新品同様にする見積もりをしてあります。
想定の範囲内です。
次は部屋の中に移動して、内装の確認です。
一番気になっていたのは傾きです。
前回視察した時に引き戸が引っかかって開かなくなっていた部屋がありました。そういう物件は部屋全体が傾いていることがあります。今回は水準器を持参して、怪しい部屋を中心にチェックします。
10/1000以上傾いている場合は、入居者さんが病気になることがあるため、賃貸で貸し出すことに違法判決が出たことがあります。そういう物件を買ってしまったら、賃貸収入が入らないので、借金だけ背負っていかなければなりません。
下の水準器を床において傾いていないかを確認します。気泡の位置が中心からどれくらいずれているかを見れば良いのでとても簡単です。私の物件視察の必需品になってます。
結果傾いている部屋は見つかりませんでした。
良かったーと思うのも束の間、別の問題がある部屋を発見してしまいました。フローリングの床を踏みつけると、フカフカするんです。まるでトランポリンを踏みつけているようです。
満額買付を出す一歩手前で、まさかの新事実発見です。シロアリです。
私は初めてですが、シロアリ物件は不動産投資仲間から耳にすることがあります。一般の住宅にシロアリが出ると大騒ぎするイメージがありますが、今は駆除の技術や薬剤が進歩し、物件購入から即撤退!というほど大騒ぎするものでもないらしいです。
幸いなことに木造と違って軽量鉄骨は基礎をシロアリに食われる心配が少ないため、「建物全体が倒壊するということは想定しずらい」と後に知り合いの工事業者さんから教えてもらいました。
どれくらい広範囲に被害が出ているかによりますが、シロアリ検査と消毒退治まで数十万から一、二百万円で対応ができるようです。
要は費用さえ見込んでおけば良いわけで、物件購入を止める必要は無いと私は判断しました。(私は、、、なので、これを読んでいただいた方はシロアリ業者さんや工事業者さんに確認の上、購入判断してくださいね)
ただ、追加費用がかかることを社長さんから教えてもらえなかったので、釈然としません。そこにY君が切り出します。
でも、これ以上の値引きは売主に通らないと言われてるんだ。。。
シロアリっていう新事実があるから、その費用分を加味して1000万円で買付を出すことにするよ。事実上の案件からの撤退かもしれないけど、仕方ないね。
シロアリ発覚後の最終交渉とその教訓
いよいよ最終交渉です。と言っても、事前に値引きは出来ないと言われているので交渉する前から結論は見えています。
ごめん、ごめん。売主がうちを通さず、シロアリ業者に直接発注してたから、知らなかったんだ。
あと、2番手が来てるんだ。満額の買付を入れたいって。物件を現金で購入して、ちょこちょこ自分で修繕しちゃう人なんだよ。シロアリも費用をかけずに、自分で駆除できるみたい。
ごめん。
こうして1ヶ月に及ぶ調査も虚しく、交渉は呆気なく決裂してしまったのです。
買付に1,300万円と書いて不動産会社の社長さんに手渡せば、この物件は購入できました。もし購入していれば、銀行からの融資を使って必要な箇所を修繕し、1年後には大きな利回り、つまり賃料収入を得ていたのだと思います。
ただ、私はそれをしませんでした。不動産賃貸業の規模の拡大を目指す私としては、銀行からの融資は生命線です。BS(バランスシート)が債務超過になり、融資先としての格付けが下がることは避けなければなりません。
その高い利回りから大きな利益が生まれ、5年後には債務超過は解消される可能性も高いのですが、それまでの間、違う物件の融資打診に行くたびに銀行から難色を示されるようでは、規模の拡大に支障が出てしまいます。
物件に応じた買い方を見極める重要性
このシロアリ案件で思い知らされたことは、同じ築古アパートでも物件の属性毎に「最適な買い方」があるということです。
- 修繕に多額の費用を要する
- 利回りは高い
- 担保評価は低い
こういった物件は銀行融資を引こうとすると修繕費用の分、債務超過に陥ってしまいます。
よって、このタイプの物件をうまく回すためには、現金で購入する方がいいのかもしれません。
そして多少時間がかかっても修繕は極力DIY(Do It Youself)する、すなわち「時間はかけても費用はかけない」という戦略がマッチします。こうすれば銀行からの格付けを気にする必要もありませんし、すぐに多額のキャッシュが手元に溜まって行くでしょう。
規模の拡大が落ち着いた時には良い戦略ですね。50代になったらやろうかなぁ。持て余した時間で空室のバリューアップ工事をすれば、安く良い部屋を貸し出す社会貢献的な喜びも得られるかもしれません。
40代の今の私には、この戦略はあいません。銀行からの格付けを維持しながら、現金を温存し、規模の拡大をしていきたいからです。
不動産会社の社長さんも、私がこの物件の最適な買手ではないことがわかっていたのかもしれませんね。そして最適な現金客を2番手で見つけてくるなんて、流石の一言です。
百戦錬磨の社長さんに良いように利用されただけで終わった築古シロアリ物件のレポートでした!
ちゃんちゃん。
それにしてもいつもY君の的確なアドバイスには助かっています。物件を見るとついつい欲しくなってしまいますが、冷静な分析をして頭を冷やしてくれます。
そのY君は以下の事例に登場する30歳で脱サラした人物です。今は一人で不動産賃貸業を営んでいます。投資手法など参考になると思いますので、良かったら下の記事を参考にしてくださいね!