1. 投資用物件の購入

日本の人口・世帯数が減少するのに不動産投資して大丈夫?2040年の人口・世帯数の推計から予測してみた!

弟子の亀丸
弟子の亀丸
人口減少している日本で不動産投資続けて大丈夫ですか?

モーガン
モーガン
大丈夫だと思うよ。今後も1棟もの賃貸アパート・マンションを購入し続けるつもりだよ。

新弟子のウサ吉
新弟子のウサ吉
世帯数がまだ伸びてるから、大丈夫だっていうんですか?

モーガン
モーガン
それは違うね。日本は来年2020年から人口だけじゃなく、世帯数も減少するからね。

弟子の亀丸
弟子の亀丸
人口減少で心配なのは家賃の下落や物件価格の下落ですよね…。じゃあ、今まで以上に安く買い叩けば安全だとでも言うんですか?

モーガン
モーガン
まぁ、安く買うに越したことはないけど、20−30年後にその値段が十分安いかどうかはわからないよね。それ以上、下落しちゃうこともあるかもしれないし。

新弟子のウサ吉
新弟子のウサ吉
怖っ。やっぱり、不動産投資はもうやめた方がいいんじゃ…。

モーガン
モーガン
確かに無理にする必要は無いよね。だけど、そんなこと言ったら、どんな業種業態だって「危険だからやめとけ」っていうことになっちゃうよ。コンビニや歯医者はもちろん、今は人気のアニメやゲームだって、人口が減ると需要は減っちゃうんだから。

弟子の亀丸
弟子の亀丸
じゃあ、どうすれば不動産投資で成功できるんですか?

モーガン
モーガン
人口が減らない地域でやればいいんだよ。そうすれば家賃や物件価格の下落も限定できなはずだよ。

新弟子のウサ吉
新弟子のウサ吉
人口が減らない地域なんてあるんですか? 東京23区に買えとでも言うんですか?高くて買えませんよ。

モーガン
モーガン
東京23区以外にもあるよ。地方だって人口が増加する都市はあるし、利便性の高いエリアに物件を所有する分には大丈夫だよ。どのような地域に物件を購入すれば良いか、データを元に説明するね!

こんにちは、モーガンです!

不動産投資をする中で避けて通れない話題があります。

それは人口や世帯数の減少です。

購入する賃貸アパートやマンションも入居する人や世帯があるから、家賃収入が入ってきます。家賃収入が入ってくる見込みがある賃貸アパート、マンションだから物件に高い値がつき、資産価値があると言えるのです。

住む人がいなくなっては不動産投資は成り立ちません。

人口や世帯数が減るというのはどういう意味があるのでしょうか。

人口や世帯数が減少するのであれば入居者が減るので、何も工夫しないでいると空室の募集家賃を下げざるを得なくなります。当然、物件全体でも家賃収入は下がりますし、それに伴ってその賃貸アパート、マンションの建物、土地としての価値も長期的に下がっていくことを意味します。

こう書いてしまうと「保有期間中のキャッシュフローも赤字だし、売却しても購入した金額より安くしか売れず、大損をした…」なんていう大失敗シナリオを思わず想像してしまいますね。

不動産投資の金額は数千万から数億に及ぶことから、失敗した時の金額は取り返しがつかないほどのダメージになってしまうかもしれません。10年間で通算10棟87戸の賃貸アパート、マンションを購入してきた私も将来を想像すると正直、不安に思うことがあります。

少子高齢化の昨今、不動産投資は危険だ!という方が多いのは無理もないかなとも思います。

しかし、私はこのような状況でも不動産投資は継続していく方針です。

上述した通り、日本の人口・世帯数は減少しますが、それはマクロで見たときの話。ミクロで見れば地方ですら人口の増加が見込まれる地域があるんです。そこに計画的に投資することで収入や資産性を犠牲にする可能性を極力減らして賃貸経営できると考えています。

これまでの10年間は銀行融資の低金利を背景に、過疎化した地域や田んぼのど真ん中にも御構い無しにアパートやマンションを建てる地主や購入する投資家が沢山いました。そんな無計画な不動産投資はこれからは通用しませんが、人口減少時代であっても入念な調査で計画的に行えば大丈夫です。

この記事では、総務省の統計データや地方自治体の都市計画資料を使って、人口減少時代にどのような地域で不動産投資を行えば良いか、私の考えを説明したいと思います。

日本は人口・世帯数ともに急激に減少する

不動産投資に関するブログなので、「人口や世帯数の減少なんかへっちゃらさ!」ということを書いた方がいいのかもしれませんが、私はそう書きたくありません。

人口がどんどん減少する日本において不動産投資は、難易度が高くなっているのは事実だと思うからです。

ただ、「人口や世帯が減少するから賃貸アパートやマンションはもう買うな!」とも言いません。地域や諸条件によっては十分戦えると思っています。具体的な説明に入る前に、今一度、人口減少と世帯数の減少について事実を確認していきましょう。

日本の人口は2005年から既に下落している

ご存知かもしれませんが、総務省の調査によると日本の総人口は2005年をピークに既に減少し始めています。

私が最初の1棟目を購入したのが2010年。当時もニュースになっていたものの、減少し始めて5年経過した時点ではあまり実感はありませんでした。人口減少については深く考えず不動産投資を始めた…というのが正直なところです。

その当時は核家族化が進行していたため、世帯数は逆に伸びていたことから、不動産投資はまだ当面安泰であるということを言う方もいましたし、初心者だった私は気にならなかったのです。

ここで総務省の日本の総人口を長期的に推計したグラフをみてください。

我が国における総人口の長期的推移 - 総務省(http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf )我が国における総人口の長期的推移 – 出展:総務省(http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf )

 

私が初めて1棟目を購入した2010年から現在(2019年2月)までに人口は減ってはいるものの、減少幅はそこまで大きくありませんでした。

しかし、ここから将来はどうでしょうか。

この先2020年から2030年、2040年と時が進むに連れ、人口減少カーブは大きくなっていくのがグラフから読み取れます。このまま人口を増やす策を講じなければ、2030年で約5%、2040年で約12%、そして2050年には約19%、人口が減少することになります。

2020年から世帯数も減少時代に突入

不動産投資家の頼みの綱である世帯数についても2020年を境に減少すると予測されています。

我が国における総人口の長期的推移 - 総務省(http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf )世帯数の推移(我が国における総人口の長期的推移 – 出展:総務省 http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf )

 

特に「夫婦と子」の世帯はこれから急激に少なくなっていきます。

「単身」世帯、その中でも「高齢者単独」世帯は微増する時期がありますが、老人ホームやグループホームなどに入所する人も多いでしょうから、賃貸アパート、マンションに住む世帯は、どの世帯層をみても減少するとみておいたほうが良さそうです。

この世帯数の減少を最近になって肌で感じることがあります。

私が1棟目を購入した2010年から2017年くらいまでの間は、世帯数が伸びていたおかげか、長く空室に苦しむことはありませんでした。

しかし、2018年ごろから引越しのハイシーズンにくる問い合わせや内見の数が少なくなっているように感じることがあります。それに伴って家賃の価格帯の維持に苦労することも増えたように思います。

今は営業努力や様々な工夫で満室経営できていますし、家賃も滅多に下げることはありませんが、この傾向が20年、30年と続いた時に「不安がない」というと嘘になります。

人口や世帯数を増やす施策といえば、移民の受け入れ」があります。

二人の子供を持つ身として、日本の子育て環境や賃金環境からして、出生率を上げることの難しさを実感しています。なので、移民を受け入れるほうが現実的だし、期待は大きいです。

民受け入れで人口を増やすことに成功している国があります。出生率の低さ、長寿など日本と同じ特徴を持つドイツです(下のグラフ参照)。日本も移民を受け入れれば「ドイツと同じように人口を増やせる!」と期待しちゃいますよね。

日本とドイツの人口推移比較(1980~2018年), 出展:世界経済のネタ帳 https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=DE&c2=JP日本とドイツの人口推移比較(1980~2018年), 出展:世界経済のネタ帳 https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=DE&c2=JP

 

ただ、日本を見ていると、移民が定着し、人口が増えるまでの道のりは遠そうに思います。今年に入って自民党は移民の受け入れ枠を拡大する法案を通しましたが、受け入れ態勢の議論が不十分なまま、地方自治体に丸投げしたと批判を浴びています。

受け入れる側の地方自治体では混乱も予想され、主体的に移民を受け入れ、移民の方に安心して定着してもらえるというフェーズまで道のりは長そうです。

移民受け入れ策は賃貸アパート、マンションの経営に織り込めるところまで来ていないように感じます。

元経済企画庁長官の故・堺屋太一氏の予測小説「団塊の後 三度目の日本」に描かれる2026年の世界でも、まだ移民受け入れで人口が増えるフェーズには到達していないのは興味深いです。

予測小説なのでフィクションではありますが、堺屋氏は統計に精通していることで知られ(トイレに必ず統計資料を持ち込んでたそうです)、これまでの著書で未来の事象を数多く当てていることで話題にもなった方です。

賃貸経営の将来構想を描くために十分通用する著書だと思いますので、ご一読をオススメします。

団塊の後 三度目の日本

団塊の後 三度目の日本

堺屋 太一
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ここまで比較的ネガティブな情報を多く書きました。

マクロで日本をみると「とても暗い気持ちになったよ。不動産投資なんて考えるべきじゃないね!」という方もいるかもしれません。

しかし、ちょっとその判断は待ってください。ミクロで見ると景色が少し変わるからです。

国全体の人口、世帯数は減少する中でも人口の増加を推計されている都市があるのです。もちろん、東京23区の話ではありません。地方にもあるんです。

具体的に次に触れていきたいと思います。

 

2040年まで人口が増加し続ける都市がある

日本の人口は減少していきますが、全ての都市が等しく人口減少する訳ではありません。多くの都市では過疎化や人口流出が進むのは事実ですが、逆に人口流出地域から人が流入する受け皿になる都市もあるのです。そういった都市は人口が増加します。

日本全国にある都市の人口増減については総務省から推計が出ているのをご存知ですか?

以下はこれから先、2040年まで人口が増加する都市と減少する都市の一覧です。ぜひ、みなさんが投資対象とする都市の人口について出展先のリンクから調べてみてください。

出展:総務省「自治体戦略2040構想研究会」最終報告書(2018年7月)https://mitomi-estate.com/admin/wp/wp-content/uploads/2018/10/201807_Final-report_Local-government-strategy-2040-Concept-study-group.pdf出展:総務省「自治体戦略2040構想研究会」最終報告書(2018年7月)https://mitomi-estate.com/admin/wp/wp-content/uploads/2018/10/201807_Final-report_Local-government-strategy-2040-Concept-study-group.pdf

 

私の住む茨城県を例にとってもう少し踏み込んで説明したいと思います。

茨城県は都道府県魅力度ランキング(ブランド総合研究所)で2018年まで6年連続最下位を記録している県です。私は生まれも育ちも茨城県という生粋の茨城県民ですが「確かに魅力的なものが何もない…」と悲しいかな、、受け入れざるをえません。

そんな茨城県ですから当然、県単位でみると人口は流出しています。

県別総人口増減率ランキング(2006年から2016年)出展:総務省 人口推計 https://todo-ran.com/t/kiji/17181県別総人口増減率ランキング(2006年から2016年)出展:総務省 人口推計 https://todo-ran.com/t/kiji/17181

 

茨城県には古くからJR常磐線沿線に都市開発された歴史があり、県北には日立製作所の創業地である日立市(19万人都市)、県央には県庁所在地の水戸市(27万人都市)、そして県南には企業城下町として栄えた土浦市(15万人都市)があります。

しかし、これらは東京からの通勤圏外にあり、地元企業の衰退とともに人口減少の歯止めがかかりません。

そんな壊滅的な状況ですが、それでも2040年まで人口が増加すると推計されている都市が茨城県にも3つあるのです。

つくば市(22万人都市)、つくばみらい市(5万人都市)、守谷市(6万人都市)の3つの都市です。この3つは茨城県の南に位置し、つくばエクスプレスが開通したことで、東京への通勤が1時間圏内となりました。

お隣の福島県からの人口流入なども手伝って人口が増加しています。その効果あってか総務省のデータでも2040年まで人口増加すると推計されているのです。

県内に事業展開している売買仲介さんと話をしていると、この3市については不動産の取引状況も悪くないようです。

昨今のスルガショックに端を発した融資環境の冷え込みの影響を受け、物件価格の一定の下落はあるものの、つくばエクスプレスの駅に近いエリアを中心に中古物件も一定の流動性を保っているという評価です。

立地適正化計画を読めば人口誘導エリアがわかる

それでは、総務省の推計にある040年まで人口増加する都市なら、どこでも不動産投資の対象として良いのでしょうか?上述した茨城県の例でいうなら、「つくば市、つくばみらい市、守谷市内ならどのエリアの物件を購入しても大丈夫!」ということなのでしょうか?

それは違います。

コンパクトシティ構想という言葉を聞いたことはないでしょうか?

とある地方自治体の水道事業の維持管理コストがかさみ、水道が止まるかもと話題になりました。人口が減少するのに比例して税収も減る世の中では、人口密集地域から過疎地域まで平等にインフラを保つということに限界が来ているようです。

これを見越した国土交通省はコンパクトシティ構想という名の下に、都市に人を誘導するエリアを定めるように地方自治体の長に対して求めています。その人口誘導エリアに集中的な住環境・インフラを整備することで効率を良くする計画です。

これを立地適正化計画と呼びます。都市が主体的に計画立案し、実行に移していくこととされています。

都市は誘導するエリアを定め、時間軸を持ってその都市計画を実現していくことが一般的な都市計画(マスタープラン)との違うポイントとされています。

不動産投資家としては、この立地適正化計画に沿って、5年―10年というスパンで都市が整備されていくことを理解して物件購入する必要があります。

出展:つくば市の立地適正計画 http://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/034/plan1_2.pdf出展:つくば市の立地適正化計画 http://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/034/plan1_2.pdf

 

大抵の場合、その都市のホームページで立地適正化計画を閲覧することができます(まだ立地適正化計画を未策定の都市もあります)。グーグルで「都市名」と「立地適正化計画」を指定して検索してみてください。

参考までにつくば市の一部を抜粋して掲載しますが、以下の通り、人口を誘導するエリアは一目瞭然になっています。

人口を誘導するエリアは一目瞭然。 出展:つくば市立地適正化計画 http://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/034/plan1_2.pdf人口を誘導するエリアは一目瞭然。 出展:つくば市立地適正化計画 http://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/034/plan1_2.pdf

 

不動産投資においては、購入する物件が「この人口誘導エリアの内に立地するかどうか」で大きな差が出そうです。

つくば市の例で具体的にご説明したいと思います。

2019年2月現在の市況においては、つくば市の売買状況をみると人口誘導エリアの中心地として定められている地域は、売りに出てから短期間(0−3ヶ月以内)で売買が成立しているものが多く見受けられます。

また利回りも1−2%ほどの小幅の下落に止まっているようです。地方都市にも関わらず、スルガショック以降でも「物件価格や流動性がある程度確保されている」と言えそうです。銀行の融資環境が改善されれば、下落した分もすぐに回復することが想定できます。

一方で人口誘導地域でも中心地から離れ、既存で住宅街があるから止むを得ず人口誘導地域として設定されたような場所は、スルガショック前の好市況時と比べて、物件下落の幅が大きいです。

利回りにして4−5%、物件価格にして30%近く下落しているものが目立ちます。物件の売値を固定資産税評価額(※)と同等もしくは、低い金額まで下げないと売買が成立しないものも出ています。

(※)固定資産税評価額は建物と土地について市町村の担当者が個別に設定した評価額のことです。固定資産税の徴税の基準になる金額です。実際に取引される時価の70%程度に設定されます。

時価よりも30%も安い固定資産税評価額並みで購入できるということはスルガショック以前は稀でした。

さらに人口誘導エリアになると売買が成立しているものが少なく、流動性がだいぶ悪くなっています。

このように人口増加都市においても将来にわたって価格下落が限定的な地域、10−30%程度落ちてしまう地域、そして流動性がかなり悪く取引が成立しない地域があることに留意して物件を購入することをお勧めします。

もちろん狙うは価格下落が限定的で資産性が高いエリアだと思います。そういったエリアは人口減少時代においても不動産投資の難易度が比較的低いと言えるのではないでしょうか。

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ABOUT ME
モーガン
IT企業に務める傍、地方の築古アパート、マンションで不動産投資をはじめました。不動産会社の役員に転身後、2018年に会社員生活を卒業し、不動産投資専業で生活しています。