1. 投資用物件の購入

不動産投資は最初から法人化するがオススメ!個人名義と法人名義をメリット・デメリットで比較してみた

弟子の亀丸
弟子の亀丸
初めて賃貸アパートを購入するんですが、不動産投資で法人化する最適なタイミングっていつですか?
モーガン
モーガン
1物件目だよ!
弟子の亀丸
弟子の亀丸
え?いきなりですか?法人名義の方が節税できたりするんですか?
モーガン
モーガン
節税もそうだけど、次の物件購入の融資を考えて法人化をオススメするよ!詳しく説明するね。

こんにちは、不動産投資を個人名義、法人名義の両方で行ってセミリタイヤしたモーガンです!

初めて投資用不動産を取得するにあたって誰しもが迷うのは、「個人名義で購入するか?それとも法人を新設して法人名義で購入するか?」ということではないでしょうか。

一度購入してしまうと名義を切り替えるには売買をやり直すのと同じコストがかかってしまいます。

慎重に検討したいところですよね。

ツイッター界隈の不動産投資家の中でも、個人名義、法人名義のどちらで不動産投資をしているかについては、ばらけています。

それだけ迷うテーマなのだと思います。

グーグルで個人名義が良いのか、法人名義が良いのかを検索してみると節税に有利なのはどっちだ!という比較記事が多く表示されるのに驚きます。

確かに税金は不動産投資をする上で大きな費用項目の一つです。押さえておかなければいけないポイントであることは間違いありません。

しかし、私は節税よりも重要なポイントがあると考えます。

それは融資です。

もしあなたの不動産投資のゴールや目的が

  • 不動産賃貸業を専業で営みたい
  • いずれは悠々自適にセミリタイヤをしたい
  • そのために少しでも早く規模を拡大したい

ということなら、上限金額無しに融資を受けられる「法人名義」で不動産投資物件を買い進めるのが得策だと思います。

私は以下の通り、通算13棟105室を購入してきました。1棟目を法人名義で購入しましたし、その後も法人名義を主体として購入しました。

おかげで融資が出ないと言われているこのご時世でも、直近の9ヶ月間に3物件、総額2億円の融資を受けることができました。

モーガンの物件購入履歴とその名義

取得順 構造 規模 名義
1物件目 RCマンション
(売却済み)
1棟9室 法人
2物件目 RCマンション
(売却済み)
1棟27室 法人
3物件目 木造アパート 1棟10室 個人
4物件目 木造アパート 1棟10室 個人
5物件目 RCマンション 区分1室 法人
6物件目 軽量鉄骨アパート 1棟8室 法人
7物件目 軽量鉄骨アパート 5棟20室 法人
8物件目 木造アパート 3棟20室 法人

私の実体験からも融資の観点を考えて、法人名義で購入するのがオススメです!

次に私の体験も踏まえて詳しく説明していきたいと思います。

「個人名義 or 法人名義」は節税の損得だけでは決められない

先にも書いた通り、個人名義、法人名義のメリット、デメリットを比較する記事で一番見かけるのは「節税の議論」です。

私は節税のスペシャリストではないので他の方のブログを引用させてもらいますが、確かに上手く節税すれば、大きな金額を手元に残すことができます。

以下の柴沼郁男さんのブログ「大家の味方」はとても公平な記事が多く、私が愛読しているものの一つです。個人名義より法人名義の方が広い経費範囲を活用できるので、法人名義の方が節税は有利であると書かれています。

法人名義の節税メリット

  • 所得が低い配偶者に役員報酬を支払うことで節税できる
  • 退職金が全額損金になる
  • 法人保険でより多くの損金計上
  • 赤字繰越が9年できる
  • 自宅を社宅にして経費化
  • 旅費交通費の日当
  • 倒産防止共済に加入できる

引用元:大家の味方「法人化のメリット(節税面)」より http://ooya-mikata.com/houjinka/houjinka_merit1.html

また、不動産投資専門の税理士である叶先生は「個人としての課税所得が900万円を超えているなら個人の所得税より法人税の方が安い。法人名義で購入するべし!」と以下の記事で書いています。

引用元:ノムコム・プロ 不動産投資コラム 不動産投資専門税理士 叶 温 https://www.nomu.com/pro/column/kanae/05.html

ただ、一概に個人の課税所得が高いからといって法人名義が有利とも限りません。課税所得がさらに高い場合(例えば1500万円以上)は個人名義で購入した方が節税に有利な場合もあります。

高年収の方の個人名義での節税については以下の記事にまとめてあります。

不動産投資で節税するのに、有効な方法と注意が必要な方法

ここまで個人名義、法人名義それぞれで節税の有利不利についてご紹介しましたが、一つ問題提起したいです。

それは「節税だけで個人名義、法人名義を決めて良いのか?」ということです。

税金は賃貸経営における費用項目の一部にしか過ぎません。費用の一部を圧縮しても、不動産投資のゴールや目的に到達できるとは限りませんよね?

税引後キャッシュフロー = 売上 ー 費用 ー 返済

サラリーマンを卒業して不動産賃貸業の専業になったり、セミリタイヤするために税引後のキャッシュフローを最大化したいとしましょう。その時、経費削減も大事ですが、売上最大化の方がより大きな課題になります。

一つの物件から得られる家賃売上は決まっているので、売上を最大化するには物件を追加購入するしかありません。

そして物件の追加購入で最難関課題は「融資」です。

つまり、個人名義、法人名義、どちらで購入するかを考える時も、節税だけではなく、ゆくゆく物件を追加購入する時の銀行融資にどちらが有利かも考えるべきです。

次に「個人・法人名義と銀行融資の関係」について書いていきたいと思います。

個人名義の融資には上限があるが、法人名義は「無限」

物件を購入する際の名義については、節税よりも、ゆくゆく追加購入する時の融資を意識した方が良いと書きました。

というのも、融資には個人名義は不利で(一部の超富裕層を除く)、法人名義の方が有利だからです。

我々が不動産の融資でお世話になるのは地方銀行や信用組合です。

地域金融機関である彼らの生業は個人から集めた預貯金を地域の法人に貸し出すことで利ざやを得る間接金融です。常に優良なビジネスを展開する法人を見つけ出し、融資することがミッションです。

不動産投資においても法人であれば不動産賃貸業という業種として取り扱われ、財務内容によっては優良な融資先として扱われます。

法人の場合、理論上は融資総額に上限はありません。

融資先が優良な財務内容の法人で、一つ一つの不動産投資案件が優良な案件であれば、何件でもいくらでも融資をしてくれます。

もちろん、不動産投資を新規に始めるにあたっては、実績も何もない新設法人なので、経営者の個人の貯蓄や年収に応じた融資しかされません。マーケットの状況によっては少額になってしまうこともあるでしょう。

しかし、その物件の返済が少しずつ進むと、信用が少しずつ貯まり、より高額な融資を受けられる様になります。それを長期的に積み上げれば、5億、10億と借入することも可能なのです。

一方で個人名義はというと、金融資産や年収に応じた融資額に止まってしまいます。

1件目の融資を受けるとその残債がマイナス評価されます。2件目、3件目とどんどん追加融資を受けたいわけですが、そうは行きません。

残債が金融資産や年収に見合わなくなった時点で「これ以上融資はできません」と言われてしまいます。

個人の場合、返済が多少進んでも残債の多さをマイナス評価される面の方が大きいからです。

1−2千万円の高年収会社員でも個人で融資を受けられるのは1−2件、1−2億円の範囲に限定されてしまうことも多いのではないでしょうか(人にもよるでしょうが)。

個人名義に対する融資の状況を更に悪くしているのは2018年に起きた不祥事です。かぼちゃの馬車事件に端を発し、金融庁は不動産投資をする個人を抑制する方向です。

法人名義で買い進める他ない状況があります。



法人名義で購入することのデメリット

法人名義で購入することが良いと書いてきましたが、もちろんデメリットもあります。真っ先に言えるのが、費用が個人名義に比べて幾ばくか嵩んでしまうということです。

  • 法人の設立費用に20−30万円ほどかかる
  • 赤字でも税金(均等割)が7万円ほど発生する
  • 税理士に支払う決算費用が20−30万円ほど発生する

これらは個人名義なら発生しない費用で、まだ物件を1−2件しか持っていない初期には、少し重たく感じます。

しかし、法人名義で投資する最大のデメリットは、何と言っても

「法人に溜まった家賃を自分のものに出来ない」

ということです。個人名義であれば振り込まれた家賃を勝手に使っても問題ありませんが、法人名義の場合の家賃収入は、あくまで法人のものです。あなたのものではありません。

個人で使うためには役員報酬として法人から個人に支払わなければなりません。

これが結構厄介です。

役員報酬は期首から3ヶ月以内しか変更ができません。それ以降は事実上変更できません。つまり、期末時点での売上や利益を期首に予測して、役員報酬額を設定します。

そうすると役員報酬は少なめに設定せざるを得ません。万が一、役員報酬を取りすぎて赤字になってしまうと本末転倒だからです。

つまり、個人名義と比べて自由に使えるお金は減ってしまう傾向にあります。

なるべくそうならないために、法人での節税を勉強して頑張らないといけません。

私も本音としては個人名義で不動産を買い進めたいです。

個人名義で私の目標額まで不動産融資を受け続けられるなら、個人名義が良いに決まってます。しかし、それは事実上不可能なので、法人税の勉強をするしかないというのが率直なところです。

この記事を読まれている方においては、念の為、銀行に個人名義でどれくらい融資が受けれるか聞いてみてください。目標額まで行けそうなら、個人名義でやってもいいかもしれません。

ちなみに私は3物件目、4物件目の個人名義の融資で銀行さんから打ち止め!と言われています、涙。

【体験記】モーガンの法人・個人名義の選択

私は一番最初の物件を法人名義で取得しました。これが結果として規模拡大に大きく貢献してくれています。

(再掲)モーガンの物件購入履歴とその名義

取得順 構造 規模 名義
1物件目 RCマンション
(売却済み)
1棟9室 法人
2物件目 RCマンション
(売却済み)
1棟27室 法人
3物件目 木造アパート 1棟10室 個人
4物件目 木造アパート 1棟10室 個人
5物件目 RCマンション 区分1室 法人
6物件目 軽量鉄骨アパート 1棟8室 法人
7物件目 軽量鉄骨アパート 5棟20室 法人
8物件目 木造アパート 3棟20室 法人

実は1物件目を融資に有利な法人名義で購入したのは偶然でした。先に書いた節税を計算に入れて意図的に選択したわけではありません。

私が1物件目を法人で購入した理由は、、、法人を大きくできたらカッコイイ!と思ったのと、財務諸表を読める様になりたかったからです。(幼稚な理由ですいません。。。)

当時、会社員だった32−3歳の私は会社を設立して社長という名刺を作りたかったんです(実際に作ってほくそ笑みました)。この会社を大きくできたら敏腕経営者を名乗れるかもしれないと思ったんです。

また、財務諸表や会計用語が苦手なのに、後輩や部下に知ったかぶりをするのが苦しくなっていました。自分の法人を登記して毎年決算していけば流石に自然と身につくだろうと考えたのも法人を選択した大きな理由です。

というわけで1物件目は偶然法人名義で購入したのですが、規模拡大、セミリタイヤには大きくプラスに作用しました。

購入してから6、7年後に1物件目と2物件目を売却したのですが、この時の利益が貸借対照表の繰越利益剰余金に計上され、今でも燦々と輝いてくれています。

これは銀行融資の際にとてもプラスに作用してくれています。

私は法人名義で直近の9ヶ月間に2億円の融資を受けました。これは過去の法人での実績が積み上がり、銀行から高く評価されているからに他ありません。

それに対して個人名義だと実績が積み上がっていかないという実体験があります。

個人の所得が増えてきたので3物件目、4物件目は節税をするために個人名義で購入しました。所得税と長期譲渡税の差を利用した節税です。

それぞれ購入して5、6年経過しましたが、常時満室で良好な運用成績を保っています。

にも関わらず、銀行さんから高く評価されたことはありません。

どちらかというと「個人の残債が多いですね、、、」とマイナス評価されてしまいます。

これらの体験から今から不動産投資を始める人は法人で購入していったほうがいいんだろうなと思います。

もちろん個人名義でも良い人もいると思います。

  • いきなり規模拡大するのは怖い
  • まだ目標がはっきりしない
  • 最小限の費用で始めたい
  • 当面1−2棟買えれば十分
  • 規模拡大はゆっくりでいい

こんな人は無理して法人名義でやる必要はないと思います。

しかし、少しでも早く規模を拡大したいと明確に思いがある方は、なるべく早い段階から、もっというと1物件目から法人で始める方が良いのではないかと思います。

私の体験が皆様のお役に立てれば本望です。

法人で融資を受けるためには、どの様に信用を積み上げるのかについては以下の記事で書いています。法人を成熟させる過程はどの様なものなのか、参考になれば嬉しいです。

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ABOUT ME
モーガン
IT企業に務める傍、地方の築古アパート、マンションで不動産投資をはじめました。不動産会社の役員に転身後、2018年に会社員生活を卒業し、不動産投資専業で生活しています。