あけましておめでとうございます、築古不動産投資家のモーガンFollow @tsukubanosoraniです!
今でこそ専業の不動産投資家(=大家業)として活動していますが、かつて不動産会社に勤務していたことがあるんです。新卒で就職したのはITの会社だったのですが、縁があって40歳の時に不動産売買と管理をする会社に転職しました。
そのプロフィールを読んでいただいた方に、このブログの問い合わせフォームから質問をもらうことがあります。
それは「他業界から不動産業界に転職することの是非」についてです。
主に20代後半から30代の中心に、「将来は不動産投資で経済的に安定したいが、その過程で不動産会社の業務経験をつけるべく転職する事はプラスになりますか?」という相談が多いです。
今回の記事では、不動産業界に転職を考えている方や将来のキャリアパスに悩んでいる方の参考になるように、実際にそれを経験した私の考えを纏めたておきたいと思います。
不動産業界への転職は不動産投資に活かせる面もありますが、メリット、デメリットもあるし、不動産業界に合う人、合わない人もいると思うからです。
コンテンツ
相談者さんの背景と相談内容
ご相談いただく方は20代後半から30代の方で、不動産投資を始めてまだ2−3年という方が多いです。色々な業種の方から相談いただきますが、私が元々いたIT業界の方が多めです。
- 物件をこれから購入する、もしくは1−2件を買ったばかり
- 本業として働く会社(非不動産業)では、将来の収入に不安があり、転職しようと考えている
- 収益用不動産を思うように買い進められていない
といった感じです。
相談者さんの多くは、不動産投資でも壁を感じていて、いっそのこと、本業でも不動産業に飛び込んでしまえば、ブレークスルーになるのでは?と期待されています。
不動産投資の壁とは、仕入れ力です。
不動産投資を始めたばかりなので、業界慣習の理解や業者さんとのネットワークが不足しているのが、規模拡大に向けた課題と感じていらっしゃるそうです。
5件、10件と経済的安定に向けて収益物件を買い進めたいのですが、このペースで行くと何十年もかかってしまうという焦りを感じるとも。
ただ、ここ最近はコロナ禍の影響で売り出し物件が少ない割に、緊急融資などの財政出動で買いたい・買える投資家が増えているという加熱状況があります。
なかなか物件を買い進められないのは10年選手も同じで、相談者さんの経験不足だけが原因ではないと思います。
不動産会社の種類
相談者さんが転職したいとする不動産会社について少し説明をしておきたいと思います。
不動産会社は主に以下の4つの業務に携わっている会社を言います。このうちの1つを専業でやる会社もあれば、総合的に扱っている会社もあります。
- 開発(商業施設やマンションなどを土地から仕入れ、建設し、販売する)
- 売買(土地、戸建て、区分マンション、収益物件などを仕入れ、販売・仲介する)
- 管理(マンション、アパートを受託し、建物を運営・管理する)
- 賃貸仲介(空室を入居者に賃貸仲介する)
相談者さんの多くは、この②の売買専業、もしくは総合的に扱っている会社の売買部門に転職するイメージを持っていらっしゃいます。
この売買部門では、地主や他の業者から媒介契約を得て仲介手数料を売上たり、自社が買主となって購入の上、再販したりすることが生業です。
売買担当者の業務内容
仕入れ担当者は、数時間おきにレインズ(業者間売買の流通システム)をチェックしたり、馴染みの業者に電話や外回りしたりすることで、売り物件情報を得ています。
少しでも希望条件に近いものが出たら、購入に向けた交渉と社内根回しを瞬時に行い、現金取引で他社に流れないように抑え込むことが役目です。
この仕入れ業務を通称物上げ(ブツあげ)と言い、相談者さんの多くはこれを経験して、ゆくゆくは自分の投資活動に活かしたいと考えていらっしゃいます。
販売(仲介)担当者は、普段から集めておいた顧客リストにアプローチをかけて、物件を案内したり、メリット、デメリットを説明するのが役目になります。
収益物件を扱う会社であれば、投資の収支シミュレーションを提示したり、簡単な税務の説明も行います。
こちらは不動産投資家として接点もあるかと思うので、イメージしやすいですよね。
両者に共通して一番求められることは「コミュニケーション能力」です。
この担当者に売りたい、もしくはこの担当者から買いたい、と思わせるコミュニケーションがとれるかどうかで取引の成否が決まるからです。
不動産取引においては、ある程度相場が決まっています。また、その手数料収入も法律で決まっているため、原則としては、誰と取引しても大差がありません。
混みいった知識よりも、コミュニケーションを武器にして、いかに掘り出し物を自社に引き込めるかが勝負になるというわけです。
転職した時に身につく力(メリット)
もし、相談者さんが転職して仕入れ担当になったら、
- 業者間で取引する時の商習慣
- 売り物件をより多く得る人的ネットワーク
- 掘り出し物を抑える、もしくは作り出す交渉術
という、まさに欲しかったものが手に入る可能性があります。
これは不動産投資家として規模を拡大する時に大きなメリットになりますね。
転職する上で考慮しておくべきポイント
相談者さんにメリットがある転職も可能ですが、最終的になりたい姿が不動産投資家(=不動産賃貸業、大家業)なら、考慮しておくべきポイントが2つあると思います。
- 合う、合わないがある
- 資金力をどうつけるか
①合う、合わないがある
前述した通り、他業種と比べても、不動産業界はコミュニケーション能力を求められる傾向があります。
コミュニケーションに苦手意識があったり、B to B取引をする企業で求められる論理的なコミュニケーションしかできない人は苦戦することもあると思います(私もかなり苦戦したクチです)。
不動産業では、感情に配慮したコミュニケーションが多分に求められます。
相手に気持ち良く取引してもらうことに全神経を集中したコミュニケーションが取れる人でないと安定して数字を残せない傾向にあります。
生まれつきのコミュニケーション・モンスターみたいな人は別ですが、他業界から転職する人は今まで培ったコミュニケーション能力を一旦横においておいて、ゼロからのスタートのつもりで一生懸命努力する必要があるかもしれません。
その覚悟がない人は、早々に他部署に配置転換されてしまうか、そもそも配属してもらえないことも。
なにせ、物上げ・販売は不動産会社の利益の源泉であり、その結果が芳しくないと会社全体が倒れてしまうからです。
②資金力をどうつけるか
不動産投資で拡大を狙うにあたっては、資金力が重要です。
昨今の銀行の融資情勢では、物件価格に対して満額の融資(フルローン)は出にくいと言われています。
最低でも1−2割の自己資金を求めらるケースが多く、その余力が少ないままに短期間で飛躍的に規模拡大することは難しいかもしれません。
前述の通り、他業種から不動産業界に転職する場合は、業務経験ゼロからのスタートになります。
ヘッドハンティングで乞われて転職する場合は別ですが、自ら志願して転職する場合のお給料は良くて現状維持。見習い期間の数年間は下がってしまってもおかしくありません。
自己資金を貯めるという意味においては、回り道にもなりかねないということは頭においておいた方が良いかと思います。
不動産業者を目指す転職にはとても有効
本題から少し離れますが、不動産投資家ではなく、不動産業者を最終的に目指すならば、転職はとても有効な手段になることもあるでしょう。
経済的な安定を投資家ではなく、事業家として狙いに行くキャリアパスですね。
不動産会社で成功すれば、不動産投資家よりも大きな収入を得られることがあります。
不動産投資家(大家業)の場合は、主な収入源は毎月の家賃になり、安定している一方で少額をコツコツと積み上げる感じです。
不動産業者の免許を取って、物件を短期間で売買する方が大きな金額が動きますし、その手数料収入もより大きくなります。
開業するのに必要なのは、業者免許とオフィスくらい。当面の間、仲介業務で稼ぐことにすれば、数十万円から数百万の自己資金で開業できるのも魅力です。
不動産業者の経営を目指すならば、個人としての能力や経験に加えて、
- 組織構成や人員配置
- 重要な外部ステークホルダー(銀行など)とのやりとり
- 宅地建物取引士の資格取得支援(学費サポートや報奨金)
など、得るものが沢山あると思います。
一つだけ注意する必要があるとするならば、自分が開業したいエリアと転職する不動産会社のエリアが重ならないようにした方が良いと思います。
独立した時に古巣と競合関係になってしまい、その事が規模拡大の足枷になってしまうことがあるからです。
また、転職するにあたっては事前に独立起業する夢を伝えておくことをお勧めします。
事前に言っておかないと誰でもびっくりしますし、時にはトラブルにも発展してしまいます。
最初から良好な関係を築き、応援されるように独立する方がその後おビジネスが伸びると言うのは想像に難くないかと思います。
不動産を絡めて経済的に安定を求める時のキャリアパス
不動産投資家として規模を拡大する上で、不動産会社に転職するというのは選択肢の一つです。
私もその時の経験が生きていますし、転職してよかったなと思います。
一方で、ご紹介した通り、合う・合わないや自己資金をどう貯めるかという問題もあることから、
- 転職せずに、今の会社でより高い職種にキャリアアップする(営業職や管理職など)
- 転職するにしても、スキルがそのまま活かせる同業種で、より高給が期待できる会社にする
という選択をすることで、自己資金を貯めることも経済的安定に近ずくと考えられます。
最終的にどのように不動産に携わりたいのか、どんな選択が自分に向いているか、今一度考えて、最適なキャリアパスを描いていただければ、この上なき幸せです。
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