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突然ですが、「投資用不動産の良し・悪し」は何で評価すればいいでしょうか?
投資用不動産の掲載数No1のサイト、楽街を見てみると実に74,771件もの物件が掲載されています(2018年7月9日現在)。この大量の物件情報の中から、儲かるものだけを購入したいですよね。
自分が購入したい都道府県と利回りの高いもの(例えば表面利回り10%以上とか)を選んでも100件以上選択肢として残るかと思います。利回りの高いものは、総じてリスクも高いと言われますので、これだけで購入判断するのは危険です。
利回りは高くても価値のない物件(=資産性が低い)を高値で買ったり、手元に現金がほとんど残らない物件(=収益性が低い)を買ってしまっては大変ですよね?
不動産投資は資産性および収益性という二つの観点から評価して購入するべきです。
私も不動産投資を初めて10年になりますが、この二つの評価方法で物件の購入判断しています。また、プロ(不動産会社の買取担当など)も必ず資産性、収益性の二つの観点から評価をしています。やらない手はないですね!
この記事では、資産性を評価する方法としては積算評価を用い、収益性の評価は玉川陽介 著『Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて』という本の付録についているエクセルを用いる方法をご説明したいと思います。
収益シミュレーションをエクセルで計算しよう!
さっそくですが、私の物件で収益性評価を計算してみました!
これは玉川陽介 著『Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて』という本の付録についているエクセル・ツールです。この本自体がそのツールの使い方の解説書の役割をしており、ツールは指定のURLからダウンロードします。
そして物件概要書にある売値や家賃などの数値情報を入力するだけで、上の画面にあるシミュレーション結果が得られます。
投資用不動産を「購入する、しない」の評価をするに当たっては収益性の評価がとても大事です。リスクを背負って投資をする訳なので、投下した初期投資額が相応のリターンになって帰ってくるのかがわからないと投資できませんよね。
もっと言うと
- 毎年の税引後キャッシュフロー(もしくは純資産)が十分に増加していくか
- 売却して投資を終えた時に最終的な税引後の損益・手残りはいくらか
という二つの金額が初期投資額に見合うかどうかです。
本来であれば、様々な費用、融資の金利計算、難解な税金の算出とたくさんの計算をしないといけませんが、このエクセル・ツールでは、最低限の入力項目で全てシミュレーションが可能です。
私は以前、自作でエクセルを作って計算していましたが、大量の式を組むのに限界がありました。どうしても概算レベルのエクセルになっていたのです。そして、友人から薦められたこの収益シミュレーション・ツールはあまりにも秀逸で、自作エクセルを使うのはもうやめました…
この本とツールのおかげで、自作エクセルでシミュレーションしていた時代と比べて、明らかにシミュレーション精度が上がりました。特にn年後に売却した時の最終損益の試算は、私のエクセルでは概算しかできなかったのに対し、詳細に可視化することができるようになりました。
このシミュレーション精度が上がるということは過度なリスク・バッファー(※)を積むことがなくなり、良い物件の取りこぼしを防いでくれることに直結します。
※バッファーの元の意味は緩衝物で、ここではリスク管理における金銭的な余裕を差します。
このツールは金融機関に事業計画書としても持ち込むこともできます。
これ以上のツールは世の中に存在し得ないと言えるくらい素晴らしいです。
ここで重要になってくるのは、この収益シミュレーション・ツールの結果を持ってどう判断するかですね。
私の場合は、このツールで税引後キャッシュフローが毎年自分の設定した目標と比較しても遜色なく増えており、物件を安定的に保有し続けることができるかを重要視しています。
さらに借入金返済が進むことによる純資産の増加、もっというと売却時の最終損益が目標としているところより増えているかも大切なポイントです。
上記の物件例を収益シミュレーション・ツールで確認して見ると、十分な収益性があることがわかります。これにより、「積算評価(後で説明します)に近い金額で指値を入れつつ、収益性評価で許容できる上限の範囲で折り合おう」というような購入方針を策定することができるのです。
「これで大丈夫!怖いもの無し!」と言いたいところですが、銀行融資を攻略する意味でもその物件の資産性の評価の仕方を押さえておいた方が良いかも知れません。銀行融資は収益性ではなく、その物件の「資産性(積算評価)」が決め手になるからです。
銀行融資の決め手は、資産性を評価する『積算評価』
上述した通り、投資用不動産では収益性の評価も大事ですが、資産性の評価も大切になってきます。
資産性とは平たくいうとその物件の建物と土地の価値です。特に土地には値段がついており、都心に近ければ近いほど高くなりますし、郊外に行けばいくほど安くなる傾向にあります。
また、その土地の形状が旗ざお地や細長い長方形のように接道面が狭くなってしまうものは、その価値に掛け目が入る形で落ちます。
この資産性評価には不動産投資の観点でいうと二つの意味があります。
一つは、その不動産の最下限の値段が見えます。何らかの不測の事態が起きて、建物を取り壊し、更地にして売ったとします。その金額は一番の最悪シナリオと言えますが(あまり起こり得ませんが)、どれだけ損になるのか、最下限の目安ができます。
この損が自分の年収・金融資産的に受け入れられる額かどうかを見ておくことは意味があることだと思います。
もう一つの意味は銀行からの受ける融資と関係してきます。
その土地と建物の価値が高いほど担保価値が高く評価されるため、低いものと比べて借入が多くできることになります。求めらる自己資金が少なく済むことになるので、資産性が高いのに越したことはないです。
あまりに評価が低いものを3棟、4棟と買い進めると担保価値と借入総額の差が開きすぎて「もう融資できません」と銀行から融資を断られる場合が出てきます。
この資産性は国が定める路線価をベースに、積算評価という手法でエクセルで算出することができるので、その方法を次にご紹介します。
積算評価をエクセルで計算しよう!
積算評価による資産性の評価は簡単な計算式で計算できます。
物件の概要書から土地面積と建物延床面積、築年数を拾って以下の式に当てはめて見てください。
積算評価額 = 土地積算評価額 + 建物積算評価額
土地積算評価額=路線価×土地面積×掛け目
建物積算評価額=再調達価格×建物延床面積×( 耐用年数―築年数 )/耐用年数
路線価は「全国地価マップ」で簡単に調べることができます。以下のリンクから全国地価マップで物件の住所を検索してみてください。物件の所在地が➕マークで表示されるので、それが面している道路上に書かれている金額が路線価になります。
https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal
→相続税路線価等 →住所検索
なお、掛け目というのは、その土地の形状、接道条件などにより補正する値のことです。これについては銀行毎に基準がマチマチだったりするため、無視しても概算値としては問題ないかと思います。
再調達価格とは、「今、その建物を新築した時の建築単価(㎡)」です。建物の延床面積とかけることでその建物の再建築価値を出しています。法定耐用年数とともに以下の表から引用してください。
構造 | 再調達価格 (㎡あたり) |
法定耐用年数 |
---|---|---|
木造 | 15万円 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 15万円 | 19-27年 |
重量鉄骨造 | 18万円 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 20万円 | 47年 |
参考までに私の物件の積算評価例を載せておきますね。積算評価で1583万円でした。掛け目はかけていません。
こちらの物件の売値は2400万円だったので、積算評価ベースでは800万円強、高いことになります。
これから判断できるのは、以下の通りです。
- 不測の事態がおきたとしても800万円の損。命が取られるような金額ではないですね。(実際に売買される時価に近い公示価格は、路線価の1.4倍になることから、最大損する金額はもっと小さいとも想定される)
- 収益シミュレーションの結果は十分なので、このまま購入も可だが、できれば指値を入れて購入することで、積算評価の評価額と近づけたい。
- 銀行の融資が売値の2400万円(全額融資)まで伸びるかは私の個人属性・信用次第。つまり、800万円強を個人属性・信用で補うことになる。個人属性から800万円分の信用枠を使ってしまっているとも言える。
ここまで評価できれば購入の判断をしても大丈夫です。収益性評価とともに銀行融資を打診する際の良い資料にもなります。
ぜひ良い物件を手に入れてくださいね!幸運を祈ります!
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