不動産投資に金融機関からの融資は不可欠です。不動産投資物件は現金でも購入できるので、融資を受けずにすることもできます。そちらの方が多額の借入返済を毎月しなくていいので気が楽なのでは?と考える人もいるかもしれません。
ただ、長期に賃貸経営をしていくことを考えると融資を利用し、現金を手元に残しておく方が安定することがわかります。
入退去の時の原状回復工事や仲介手数料の支払いをする度に現金が少ないことを気にしていると安定した賃貸経営はできません。逆に手元に現金があれば、2棟目、3棟目と買い進めることができ、そのうちの一棟で不測の事態が起きて空室が続いても、2棟目、3棟目の賃料収入が借入返済をカバーしてくれるので経営が安定します。
この記事では、あなたの不動産投資に融資してくれる金融機関の見つけ方と私が実際にやって感じたコツをご紹介しますね。
自分が融資を受けられる金融機関はどこ?
自分に融資してくれる金融機関をむやみに探すのは効率的ではありませんね。まずは原理原則を理解しておきましょう。
大原則として知っておかなければいけないことは、あなたに融資をしてくれる可能性が一番高い金融機関は、ご自身が住んでいる都道府県内の最寄りの金融機関であるということです。
一部、オリックス銀行や三井住友L&Fなどのノンバンクは例外的に購入する物件の所在地次第で融資しますが、メガバンク、地方銀行、信用金庫・組合、日本政策金融公庫はその人が近くに住んでいるかどうかが重視されます。
その地域の経済振興を金融機関はミッションに持っているからというのが理由の一つです。ただ、住んでいる地域が重要視されるのにはもう一つ理由があります。
金融機関はお金を貸す側なので、融資先の賃貸経営状況を常に把握しておかないと貸し倒れしてしまうリスクが高まってしまいます。融資先の経営者の住んでいる場所がその支店のエリア内で状況把握がしやすいというのが絶対的な基準になるわけです。
稀に住まいがエリア外でも勤務先がその支店のエリア内であれば融資が受けれることがありますが、あくまで例外だと考えた方がいいでしょう。
よって融資をしてもらう金融機関を探す時は、以下の順番であたっていくのが効率的です。
- 住んでいる地域のメガバンク、地方銀行、信用金庫・組合の支店
- ノンバンク・日本政策金融公庫
- 勤務先の近くの金融機関
②のノンバンクは住んでいる地域で融資が何らかの事情で受けられない人の受け皿的な立ち位置で成長してきた背景があります。
融資が出にくい人にも出す可能性がある一方、自己資金を2−3割出さないといけないですし、金利は2−4%近辺と高めになります。日本政策金融公庫も融資期間が10年と短めなので、融資条件としては①の最寄りの金融機関よりおちます。
③勤務先の地域の金融機関を探すのはダメ元でやってみるという格好になると思います。この場合は自力では厳しく、太いパイプを持っている不動産会社さんに紹介してもらうなどしないと難しいかもしれません。
融資してくれる金融機関の見つけ方・手順
自分に融資してくれる金融機関は「地元の支店が最強説」を理解できたら、早速開拓していきましょう。
金融機関の開拓にあたってはまずインターネットで最寄りの金融機関をリストアップしてみてください。そして電話をかけて融資をしてくれる可能性があるかヒアリングをして見ましょう。
電話に出た受付の方に「賃貸アパート取得の融資担当」の方に繋いでもらうようにお願いして、融資担当の方からその銀行の融資方針をヒアリングをするようにします。ヒアリングのゴールとしては自分の不動産取得方針が実現できそうか感触を確かめることです。
金融機関が融資を出す、出さないを判断する基準は賃貸経営をする「人」の属性と「物件」の属性によります。なので、電話口で簡単な自己紹介と取得したい物件の概要を伝えるとスムーズにヒアリングができると思います。
自己紹介では、名前、仕事(勤務先)、年収、金融資産を説明します。物件については、所在地、構造、築年数、価格帯などのイメージを伝えます。
ここでぜひ聞き出していただきたいのは、金利、借入年数、その他条件、制限事項です。この条件があなたの目標や不動産取得方針と合致しているものであれば、一旦、金融機関の開拓は成功したと言っていいでしょう。
私が実際に行ったヒアリング結果を参考までに掲載しておきますね。
金融機関名 | 融資対象地域 | 借入金利 | 借入金額 | 借入期間 | 利用判定 |
---|---|---|---|---|---|
地方銀行A | 支店がある1都4県 | 1-2% | 物件金額+諸経費まで満額可能 | 耐用年数の残存期間まで | × 残存期間がある物件で表面利回りが取れる物件がない。 |
地方銀行B | 支店がある1都2県 | 1-2% | 物件金額+諸経費まで満額可能 | 10〜15年 耐用年数超過もOK |
× 15年では目標に届かない。 |
信用金庫C | 県内のみ | 2%台 | 物件金額+諸経費まで満額可能 | 耐用年数の残存期間まで | × 残存期間がある物件で表面利回りが取れる物件がない。 |
信用組合D | 県内のみ | 2.1-2.5% | 物件金額+諸経費まで満額可能 | 15-20年 耐用年数超過もOK |
○ |
日本政策金融公庫 | 日本全国 | 1.16-1.76% | 4800万円まで | 10年 耐用年数超過もOK |
× 10年では目標額に届かない。 |
金融機関の開拓のコツは?
ここで注意点があります。その電話の向こうで融資担当者からあなたは評価されているということです。信頼が置けそうな人か、融資を出して大丈夫な人かということです。
もし、この人ではダメだと判断されたら融資条件を聞き出す前に体よくあしらわれて終わってしまうこともあるでしょう。
金融機関にとって利息が売り上げになるので、融資先はお客様であることは間違いありません。ただ、「その客である私に金融機関の担当者は一生懸命対応するのが当然だ」と思って電話する人がいるようです。
しかし、ここで考えないといけないのが、あなたは必ずしもそのお客様になれるとは限らないということです。客だから当然だと思っているとそれが言葉の端々に出てしまい、人としての信用を失ってしまうかもしれないので注意が必要です。
金融機関は人として信用ができるかどうかを注意深く見ています。
賃貸経営ができる素質があるかどうか、はたまた地獄のように大変な資料作成や金融機関内の稟議をしてまで応援してあげる価値がある人かどうかを金融機関は常に見ていることを忘れてはいけません。
そのことを頭に入れながら、必要なことを聞き出すというのが最大のコツだと私は思います。
かぼちゃの馬車とスルガ銀行の影響
特に2018年7月現在においては、かぼちゃの馬車サブリース問題で事件を起こしたスルガ銀行が事実上融資業務を停止しています。その影響で不動産投資家と名乗る会社員から問い合わせが各金融機関に殺到しているようです。
今まで会社員投資家の受け皿だったスルガ銀行が融資を出さなくなったため、不動産物件を買えなくなってしまって大変だ!と各金融機関にサグリの電話を入れているのです。
これらの電話は金融機関の担当者をうんざりさせていることでしょう。優良なお客様の融資案件の資料作成や上司への根回しなどを止めてまで受話器を握っているのに、自分の利益になることばかり一方的に話す電話を受けたら、誰でもゲンナリしますよね。。。
特にスルガ銀行問題は「賃貸経営経験のない会社員を不動産投資で破綻させてしまった」という捉え方をしている金融機関は多く、賃貸経営実績のない会社員への貸し出しは控えるようにという行内通達が出ているところも少なくありません。
上記の状況を踏まえると、金融機関に電話一本する際にも相手の状況を踏まえた配慮が必要だということが言えますよね。不動産賃貸業に真面目に取り組んで行こうとしている姿勢がにじみ出るようなヒアリングをすることが金融機関開拓の最大のコツといえます。