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ここのところ立て続けに不動産投資初心者さんから同じ内容の相談を受けたので、ブログ記事にまとめたいと思います。その内容は、不動産投資をするエリアについてです。どのエリアで物件を探していけば良いかということです。
もし、あなたが自己資金のみで収益物件を買い進められるなら、この答えはシンプルです。「どこでも好きなところで買えばいい」です。自分のお金で買うわけですから、自由にすればいいのです。
しかし、
という方も多いでしょう。そういう方は、銀行が融資を出してくれるエリアで不動産投資をしていくのが基本スタンスになります。他人からお金を借りるわけですから、自分の都合だけでエリアを選ぶということはなかなかできなくなるというわけです。
という方も注意が必要です。本来、物件を持っていることは不動産賃貸業の経験者として銀行の安心材料になるべきことが、1戸目を銀行が望まない場所に物件を買ってしまったばかりに、安心材料になるどころか不安な要素としてマイナス評価されてしまうこともありえます。
そうならないためにも、銀行融資を受ける時のエリア選定について原則を抑えておきましょう。
銀行が融資するエリアとは?
銀行が融資の審査をするにあたって、物件の所在地やあなたのご自宅の住所(法人の場合は法人所在地も)はとても重要です。銀行は金融庁に届けている営業エリアの外への融資は原則できないからです。
さらに、支店単位においても万が一の事故(例えばあなたが返済を滞らせるなど)を想定して、いつでもすぐに状況把握に行けるエリアにしか融資をしないことになっています。この範囲は銀行やその支店によっても違うので一概には言えませんが、「支店から車で30-40分前後で行ける範囲(注1)」を営業エリアと定めているところが多かったです(私の周りの銀行へのヒアリング結果)。
注1:原則、「市街化区域」内になります。市街化調整区域は、都市計画上、土地開発や建物を建てるなどの市街化を抑制するために設定された場所です。いくら支店の営業エリア内にあったとしても、原則、銀行は融資してくれません。融資してしまったら、開発や市街化が進むことになってしまうので、矛盾してしまいますよね。
原則、この営業エリア内に以下3つ全てが入っていることが融資の前提になります。
- 融資を受けたい物件
- あなたの自宅住所
- 法人で不動産投資する場合は、法人所在地も
絵で表すと以下のようになります。
この30-40分はあくまで目安で多少遠いからといって諦める必要はありませんが、要確認です。逆に30-40分以内でも都道府県を跨いでしまう場合はエリア外になっている場合もあるので、合わせて確認が必要です。
融資が受けにくいケース
例えば、物件がこの営業エリア外にあると、それを理由に門前払いになることが多くなります。
自宅や法人所在地が営業エリア外の場合も、原則融資は難しいことが多いです。絵にすると以下のようになります。
といなされてしまうことが多いです。
これまでご説明している営業エリアの概念は、地銀、信用金庫、信用組合などが扱うプロパー・ローン(融資)を受ける場合を想定しています。プロパー・ローン(融資)とは銀行自身の責任・リスクで事業者向けに柔軟にカスタマイズして融資してくれる制度のことを言います。
法人の決算書を良くしていけば、仮に個人事業・属性(≒お給料や金融資産の多さ)があまり高くない人でも事業者として融資を継続的に受けられるようになる可能性があるからです。
一方で、融資の形態にはもう一つ、アパート・ローンという定型パッケージ型の融資があります。アパート・ローンの多くは、あなたの個人信用・属性を保証会社が査定し、銀行の代わりに責任や貸し倒れリスクを背負うという意味で、プロパーとは全く別物です。
アパート・ローンは銀行がリスクヘッジできているため、営業エリアが広めに設定されていることが多いです。多くの場合複数の都道府県に跨って融資してくれます。
しかし、アパート・ローンは「個人信用の切れ目は縁の切れ目」です。あなたが富裕層でもない限り、2件目以降の融資は格段に厳しくなってしまうので注意が必要です。次のプロパー・ローン審査にも悪影響を与える場合があります。
アパート・ローンを使う場合は、例外的に法人にも融資してくれるものがあるので、そちらに注目してエリアを定めていくと良いです。アパートローンのエリアはホームページなどで開示されている場合が多いのでチェックしてみてください。
どうしても物件と銀行の営業エリアが噛み合わない場合
ここまでの説明で、物件、自宅が銀行の営業エリア内にあることの重要性はご理解いただけたかと思います。しかし、現実にはこれらがうまく噛み合わない方も多くいらっしゃいます。
その場合に、私の周りでいくつか成功例があるのが、法人所在地だけでも銀行の営業エリアに入れるというやり方です。自宅は営業エリアの外なので、全て入っているケースと比べると条件がつきますが、融資が受けられている人もいます。
絵にするとこんな形です。
この場合、銀行からは事業実態を見られます。冒頭でも触れましたが、銀行は事故があった時にすぐに状況把握をしなければいけませんから、例えば「バーチャルオフィスにあるペーパーカンパニー」という事業実態がほとんどないところには融資できないのです。
そこで、融資審査を受けるにあたっては法人に事業実態を備えることが大事になります。
事業実態を備えるとは、
- 法人決算書を3期分、できる限り黒字化する
- 保有物件があれば、入居付けし、満室にする
- 他の副業や事業があれば、それも法人決算書に反映できるようにする
- 営業エリアの業者さんと取引を多くする
- すぐに連絡がつくようにし、従業員が法人に常駐できればベスト
のようなことを指し、少しでも多くこれらが銀行に感じ取って貰えば、融資審査の土俵に乗る回数が増えてきます。
この時にデメリットとしてあるのが、拠点を維持するコストです。バーチャルオフィスではダメなので、事務所を借りるなどして法人登記する必要があります。
しかし、私の周りではコスト削減する工夫をして頑張っている方が多くいらっしゃいます。
- 実家に登記させてもらう(維持費ゼロ)
- 立地の悪い安い賃貸を借りる(家賃2万円前後)
- 仲間内に倉庫として貸し出して収入を得る(5千円から1万円ほど貰う)
というような形です。
特に実家に登記させてもらうパターンはとても良い戦術だなと思います。事務所の維持費がかからない上に、親の協力を得ることができれば、常駐の従業員も無償で雇用できてしまいます(笑)。
さらに良いのは、銀行が気にする「どうしてこのエリア選定をしたのか?」という問いの答えにもなりえます。
もう一つ営業エリアが噛み合わなかった時の対策として、日本政策金融公庫の融資を活用するということがあります。営利目的で融資する民間の金融機関とは違って、これから創業する経営者や女性、高齢の経営者を支援してくれる制度があります。
物件取得においては、融資限度額が4800万円、融資期間は10年など制約もありますが、民間の金融機関の営業エリアほど縛りがきつくありません。金利も低めに設定されているので、初心者と相性が良いです。さらに、日本政策金融公庫との融資取引実績があると、民間金融機関には安心材料としてプラスに働くことも見逃せません。
法人決算書がまだなくても相談に乗ってもらえますし、上述した3期分を黒字化する過程での物件購入やリフォームにおいても強い味方になってくれる可能性があります。
さらに融資の理解を深めたい方へ
繰り返しになりますが、もしあなたが融資を見据えて継続的に不動産投資を行いたいのなら、自宅、法人所在地、物件、全てが銀行の営業エリアに入っていることがとても大事になります。そこで、自宅近くの支店から営業エリアをヒアリングした上で、そのエリア内から物件を探すのが効率的です。
しかし、人によっては、それが叶わないこともあるでしょう。その場合は、日本政策金融公庫を使うか、ご紹介した法人をうまく活用する案を検証してみてください。法人の事業実態を作るという点でハードルがありますが、それを乗り越えている人も多くいるので、頑張ってみる価値はあるかと思います。
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