こんにちは、モーガンです。今日も37度のうだるような暑さの中、不動産会社さんと物件視察に行ってきましたよ。ただ、部屋の内見はあまりできませんね。汗が吹き出ます。
何の変哲も無い単身用1Kの物件だったので、ささっと終わらせて、不動産会社さんにあまり汗をかかせないようにしました。ちょっとした配慮から不動産会社さんとの関係が良くなって、交渉頑張ってくれたり、良い物件を紹介してくれたりするので、気を使うのは大事ですね。
そういった配慮もあってか、無事希望の値段で指値させて貰いましたよ。
さて、今回は節税に関するお話です。私も外資系でバリバリ働いていた時代があったので、若い頃から節税に興味がありました。せっかく身を削るように働いても、お給料を税金でたくさん持ってかれてしまうのは嫌ですもんね。
もちろん、違法な脱税はしてはいけませんが、合法的な範囲で税金をマネージメントするのはビジネスパーソンとして必須知識なのかなとも思います。そこで良く耳にするのが「投資用不動産を購入して、減価償却費と年収を損益通算すると節税できるよ!」と言うことです。
これって本当でしょうか?減価償却費って言う打ち出の小槌を振れば振るほど、節税ができてしまうんですかね?
実は違うんですよ。緻密な計算の上でやらないと利益の繰り延べになるだけで、全く節税は出来ないんです。手間を増やした分だけ損になってしまうことすらあります。
今回は実際に成功したA君の節税事例を元に、減価償却費をどのように有効活用したら、節税ができるのかを書いていきたいと思います。
減価償却費をいくら多くとっても節税にはならない!
減価償却費について一度は耳にしたことがある方も多いかと思います。
高額な建物を購入した場合、その金額を定めらた償却年数にあてはめて、毎年分割して経費計上することができます。この費用のことを減価償却費と呼びます。
毎年その建物が減耗する分を仮想的な減耗損として費用計上し、その分、建物の簿価が下がることを減価償却と捉えるとわかりやすいかもしれません。
土地は税務上、減耗するものではないため、減価償却費を計上することはできません。
この減価償却費を多く計上さえすれば、節税ができると考えている人が結構います。確かに仮想的な費用を多く計上できるのですから、その年の所得(利益)をその分減らすことができ、税金を安く抑えられる気がしますよね。
しかし、減価償却費は今期に利益を出すか、それとも売却時に利益を出すか、利益を繰り延べる効果しかありません。
その年の税率(個人なら所得税と住民税、法人なら法人税)と売却時の税率(個人なら譲渡税、法人なら法人税)が一緒である場合は、減価償却費が多かろうと少なかろうと、その建物(不動産)を買ってから売るまでの間の利益額は同じです。
その年に減価償却費を多くとって、利益を圧縮して税金を少なくしても、簿価も同額下がるので、売却時に全く同じ分の利益が計上されてしまい、その分税金を支払わないければいけないんです。
節税にはなっていないんです。
減価償却費で節税になるシナリオとは?
では、どうやったら節税できるんでしょう?
ここまで読んでいただいて感が良い方はお気づきかと思います。その年の税率と譲渡税に差が出ると節税ができるんです。
その年の税率(個人なら所得税と住民税、法人なら法人税)が高く、売却の時の税率(個人なら譲渡税、法人なら法人税)が低ければ、その分節税ができるということになります。
個人の所得税、住民税と売却税はこういった関係になります。
課税される 所得金額 |
税率 (所得税+住民税) |
売却時の 譲渡税 |
差分 | 節税効果 |
---|---|---|---|---|
195万円以下 | 15% | 20% | -5% | 納税が増えてしまう |
330万円以下 | 20% | 20% | 0% | 節税効果無し |
695万円以下 | 30% | 20% | 10% | 節税効果ほぼ無し |
900万円以下 | 33% | 20% | 13% | 節税効果低い |
1800万円以下 | 43% | 20% | 23% | 節税効果有り |
4000万円以下 | 50% | 20% | 30% | 節税効果高い |
4000万円超 | 55% | 20% | 35% | 節税効果一番高い |
課税される所得(年収から控除などを引いた金額)が900万円以下ですと、手間やリスクを考えると節税効果はほとんどないと言えるでしょう。逆に900万円を超える人は、超えれば超えるほど節税の旨味が出てくるといえます。
法人の場合を見てみましょう。
課税される所得 | 法人税率 | 売却時の法人税率 | 差 | 節税効果 |
---|---|---|---|---|
800万円以下 | 約24% | 左に同じ | 0% | 節税効果無し、繰延効果のみ |
800万円超 | 約34% | 左に同じ | 0% | 節税効果無し、繰延効果のみ |
法人の場合は所有している間の課税も売却時の課税も同じ法人税です。表ではあえて分けて書きましたが、実際は同じ課税になります。つまり、税率に差は生じないため、節税効果は有りません。利益を繰り延べる効果しかないのです。
つまり、節税が不動産投資の動機なのであれば、「年収の高い個人」で行うことが大原則になります。
節税に成功した外資系営業Aさんの事例
実際の節税に成功したAさん(37歳)の事例を見てみましょう。
Aさんは外資系に勤める営業マンです。自分の営業スタイルに自信を持っており、この先数年は2500万円程度の課税所得を見込んでいるため、以下のような投資用不動産を購入したのです。
個人属性について
年収 | 2,500万円(今後5年間、同じ年収が見込める) |
---|---|
税率 | 50% |
購入主体 | 個人 |
銀行融資について
金融機関 | 某地方銀行 |
---|---|
借入金額 | 4,950万円(自己資金15%=825万円) |
利率 | 1.05% |
期間 | 20年 |
物件について
所在地 | 埼玉県 |
---|---|
構造 | 木造 |
築年数 | 築26年(法定耐用年数オーバー、減価償却期間4年) |
購入価格 | 5,500万円(+諸費用250万円) |
売却価格 | 5,200万円(5年後の長期譲渡税20%に変わる時に売却できた) |
土地・建物価格の比率 | 土地50%:建物50% |
利回り | 9.8% |
最終運用益(リターン)について
上記のような個人属性、銀行融資、物件が揃った結果、以下のような最終損益(リターン)をAさんは手にしました。
1−4年目
税引前キャッシュフロー | 110万円/年 |
---|---|
税 | 320万円/年(還付される) |
税引後キャッシュフロー | 430万円/年 |
5年目(減価償却費の計上なし)
税引前キャッシュフロー | 110万円 |
---|---|
税 | △160万円(徴収される) |
税引後キャッシュフロー | △50万円 |
6年目(減価償却費なし+長期譲渡にて5,200万円で売却)
税引前キャッシュフロー | 110万円 |
---|---|
税 | △160万円(徴収される) |
税引後キャッシュフロー | △50万円 |
税引後売却益 | 400万円 |
6年間の最終損益
1-5年 税引後CF | 1,620万円 (430万円 × 4年 ー 50万円 × 2) |
---|---|
税引後売却益 | 400万円 |
自己資金 | 825万円 |
最終運用益 | 1,195万円(1-5年税引後CF + 税引後CF ー 自己資金) |
IRR | 41% |
このような高い節税効果を得るためには、当然、購入物件にもポイントがあります。それは「築古」かつ「物件価格の建物割合が大きい」物件を購入することです。
上記の事例で言うと、建物価格割合が50%もあるということは、その分減価償却費が多く計上できるということになります。それを耐用年数をオーバーしている築26年の物件は、4年に割って計上できるため、1年あたりに計上できる減価償却費が最大化するのです。
具体的には毎年680万円(5,500万円 × 50% ÷ 償却期間4年)も費用計上できるということです。ご自身の年収と損益通算することで多額の節税がするためには、「築古」で「建物割合が大きい」と言う二つの条件を満たすことが必須なんです。
建物割合がいくら多くても、減価償却期間が長ければ、一年あたりの減価償却費は少なくなってしまいます。例えば、木造新築の場合、22年間で償却することになり、中古築古と比べるとだいぶ少なくなってしまいます。上の中古の物件が仮に新築だったとすると、年間125万円となってしまい、555万円も低いです。これが新築は節税に向かないと言われる所以です。
節税を成功させてくれる物件の探し方
ここまでの説明から、むやみに減価償却費を計上すればいいという訳では無いことがおわかりいただけたかと思います。
まとめると、節税を成功させるためには、3つのポイントがあるんですね
- 個人で取得すること
- 所得税・住民税と譲渡税の差が大きいこと
- 「築古」かつ「建物割合が大きい」物件を購入すること
①の「個人で取得すること」は契約形態の話なので、融資を個人で引くことができれば、問題なくできるでしょう。
②の所得税・住民税と譲渡税の差については、年収が1000万円以上あれば、譲渡税20%との差が出てきますので、取り組む価値がありそうと言えますね。
問題は③の築古、かつ、建物割合が大きい物件を購入することです。そんな都合の良い物件はあるんでしょうか?
そのような物件はあります。ただし、探し方にコツがあるんです。
「築古」かつ「建物割合が大きい」物件の探し方
節税を成功させるために、鍵となる「築古」かつ「建物割合が大きい」という物件を探すにはどうすればいいのでしょうか。
そもそも、そんな物件あるの?と思われる人もいるかもしれません。なぜなら、「築が古い」と「建物割合が大きい=建物の価値が高い」は矛盾しているからです。
一般的に物件の土地と建物の割合は、土地、建物それぞれの固定資産税評価額の割合で決めます。
石造りの文化である欧米とは違い、日本では税務上、建物は古くなると価値が下がっていきます。減価していきます。
建物の固定資産税評価額は3年に一度見直され、経年とともに下がっていくのです。
一方で土地は減価して行くものでは無いので下がりません。
ということはつまり、建物割合は築が古ければ古いほど低くなるものなのです。
では、どうすればいいのでしょうか?
税務としては最終的に売買契約書に書かれた土地、建物、消費税の金額が「正」になります。買主側としては、その建物割合を高くすればいいのです。建物を単純な固定資産税評価額の割合で決めるのではなく、建物を時価で評価し決めるという手を使うのです。
しかし、そうするには二つの課題があります。
一つは売主側が建物割合が高いと消費税を多く払わなければなりませんので、嫌がるということです。
もし指値などで厳しい交渉をしていたりすると、交渉ポイントが増えてしまい、こじれてしまうこともあるでしょう。そのため、売買仲介に入る不動産会社さんも交渉を嫌がるケースもあるかもしれません。
こじれるくらいなら、売主が消費税を払う分、物件価格を買い上がるからお願いします!という交渉をすることもできなくはないのでしょうが、結構難しい交渉になりそうです。
もう一つは、建物を時価で算定して固定資産税評価額より高く見積もるにしても、その根拠が問われる可能性があるということです。外壁や屋上防水などバリューアップがしてあるなど時価が高く評価できる根拠を税務上、求めらることもあるかもしれません。
その二つを考えると現実的には、通常の仲介取引の中で、築古、かつ建物割合が高いというのを成立させるのは至難の技と言えます。
こういった節税するのに条件が整っている物件は、売買仲介をしている不動産会社ではなく、中古物件を仕入れ販売している会社(注)から購入するのが現実的だと思います。
注:中間省略や三為業者と混同しやすいので注意してくださいね。別物です。
仕入れ販売している不動産会社では、築古物件を自社で一度購入し、大規模修繕(外壁、屋上防水など)で建物価値を上げてから、一般の人に節税可能物件として販売しています。こういった再生中古節税アパート、マンションを販売している会社はあまり多くありませんが、実際にはあります。
事例に取り上げたAさんもそのような不動産会社の1社である武蔵コーポレーションから購入しています。
私自身もこの武蔵コーポレーションから3棟50室のアパート、マンションを購入し、7年が経過しています。とても安心して紹介できる不動産会社さんなので、ぜひ投資相談を申し込んで見てください。
より詳しく知りたい!という方向けに武蔵コーポレーションとその取り扱う物件について紹介記事のリンクを貼っておきますね。

節税目的のあなたを適切に導いてくれると思いますよ!